本サイトでも定期的にお伝えしている「AV出演強要問題」。「グラビアモデル」や「モデル」として芸能プロダクションと契約したはずの女性にAV出演を強要し、女性側がそれを断れば「違約金を払え」「親に請求書を送る」などと脅したうえ出演を余儀なくさせるといった悪質な手口の告発が相次ぎ、「AV出演強要」は大きくクローズアップされるようになった。
この流れを受け、6月には内閣府が「AV出演強要についての実態把握に努める」との答弁を閣議決定。今後、法整備や公的な審査団体の新たな設立といった動きがあるのではとの報道もあるが、そんななか、元AV女優で現在は作家の川奈まり子氏が、AV出演者の人権を守るための団体「表現者ネットワーク(AVAN)」を立ち上げた。公権力の介入による問題解決では本当の意味でのAV出演者の人権擁護は果たされないとして、自主的にAV出演者の人権を守るために活動をしていくのだという。
今回、当サイトは川奈氏にインタビューを敢行。社会問題化したAV業界をめぐる問題についてどう考えているのかを聞いた。
──まず、改めて、AVANを立ち上げた経緯を教えてください。
「きっかけは、今年3月に国際人権NGO団体・ヒューマンライツ・ナウ(以下、HRN)がAVへの出演を強要する手口が業界で横行しているとの報告書を発表したことですね。マスコミでも大きく報道され、その報告書の内容には同意できる部分、できない部分、色々ありましたけれど、それをきっかけに、どうしたらAV女優の仕事と人権を守れるか、取り巻く環境がよくなるかを考えたんです。となると、やはり、AV出演者自身でAV出演者の権利を守るための、メーカーやプロダクションからしがらみを受けない同業者団体が必要ではないかと思ったわけです。これまでAV業界ではそういった団体がつくられたことはなかったんですけど、とにかくこれはやらなければ、と。そのためのとっかかりとして、出演者の権利を第一義にした出演者本意の契約書を作成しました。現在は、その契約書を使用するよう、各プロダクションやメーカーに呼びかけています」
──AV出演強要については、法的規制が必要という指摘がありますが、あくまで自主的にルールを設けよう、ということですね。
「私個人の意見ですが、最初から法規制を否定するつもりはないんです。ただ、AV業界の内情をよく知らない人たちが現在進めようとしている動きは、本当の意味でAV女優の人権を守ることにはならない。このまま事態が進んでいけば、AV女優たちは仕事をなくし、かえって人権侵害を受けかねない闇のマーケットに追いやられてしまいます。そうならないためにも、公権力の介入ではなく、まずは業界内部での自主規制をするべきだと考えました。」