改めて指摘しておくが、AV業界で出演強要が横行しているのは歴然たる事実であるし、前近代的な契約など、改善すべき問題は山積している。しかし、先日当サイトでも取り上げた『クローズアップ現代+』(NHK)のように、ひたすらAV業界を悪の組織として糾弾することだけに終始していると、川奈氏の言うように、この問題を解決する方向とは逆に行ってしまう可能性がある。いたずらに権力の介入を招き、逆にAV女優の人権やプライバシーを侵害し、差別を助長する危険性すら出てくるだろう。
そういう意味でも、川奈氏が設立したAVANにかかる期待は大きい。もちろん、AVANにも不十分な点はあるし、実効性をもつ組織になれるかどうかもまだ不透明だ。しかし、AV出演者の人権を本当に守るためには、やはり業界が自主的にルールをつくり、健全化のための努力を一歩ずつ積み上げていくしかないのである。
今後も当サイトはこの問題を注視し、真にAV女優たちの人権が守られる議論になるよう見守っていきたい。
(インタビュー・文・写真/編集部)
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Profile
表現者ネットワーク(AVAN)代表。1999年にAV女優としてデビュー。2004年に引退後は官能小説家・怪談作家としても活動し、今年6月には『実話怪談 出没地帯』(河出書房新社)を出版したばかり。今月11日京都・龍谷大学でAVANの活動について講演する他、19日出版予定の井川楊枝『モザイクの向こう側』(双葉社)でも、今後のAV業界のあり方についてコメントを寄せている。近々、AVANアドバイザリーボードの詳細が公開される予定。他、最新情報はAVANホームページへ。
最終更新:2017.11.21 03:53