読売テレビアナウンザーズ公式サイト「チームytvアナ」プロフィールページより
やはり、案の定、というべきだろう。大阪維新の会が今秋に行われる大阪府の堺市長選挙に、今年1月末で読売テレビを退社した元アナウンサー、「シミケン」こと清水健氏(40)を擁立する方針を固めたと23日、朝日新聞をはじめ数紙が報じた。3月には最終決定し、その後、正式に出馬要請の流れになる見込みだという。この報道に対し、本人と、大阪維新の会代表の松井一郎知事は揃って否定しているが、清水氏の退社が報じられた昨年末に本サイトが掲載した記事が現実に近づいているわけだ。
経緯を振り返っておく。夕方の情報ニュース番組『かんさい情報ネットten.』のメインキャスターを5年以上務め、主婦層を中心に絶大な人気を誇った清水氏は、同局の看板アナウンサーであると同時に、妻を癌で失い、幼い子どもを男手で育てるイクメンとしても知られていた。番組スタッフだったスタイリストの女性と結婚してまもなく、妊娠と乳癌が相次いで発覚。妻の闘病と妊娠生活を献身的に支えたが、妻は無事出産を終え、母親になってわずか112日、29歳の若さで息を引き取った。清水氏は、その体験を綴った手記『112日間のママ』(小学館)を出版。癌撲滅や難病対策に取り組む「一般社団法人清水健基金」を設立し、テレビの仕事の合間に講演やイベント出演などの活動を行ってきた。
番組降板と退社も、その活動に専念することと妻が遺した一人息子の育児のためだと12月末の会見では説明し、「心も身体もいっぱいいっぱい」「息子の前で心から笑えていない自分がいるな」などと語っていた。前回2013年の堺市長選で維新から出馬要請を受けたこともあり、記者たちに出馬や政界転身の可能性を重ねて問われたが、「今は基金のことで頭がいっぱい。行政に活かすことは考えていない。まったくないです」とはっきり否定した。記者たちに詰め寄られた清水氏は泣き出したとの話もある。
それから約1カ月後、最後の番組出演となった今年1月27日、清水氏はキャスター席を離れる感慨をこう視聴者に語りかけている。
「(妻の闘病などで)多くのご心配をおかけしました。みなさまからのお手紙やメッセージにどれだけ救われたか……。僕だけじゃないんです。いま現在、多くの方々がいろんなことと闘って必死に前を向こうとしていらっしゃいます。僕はそういう方々にちょっとの力かもしれませんけども、エールを送れる一人の男でありたい」
「これからもみなさんと一緒に、僕は前を向いていきたいと思っています。この席に座らせていただいた時間、すべてが、僕の、宝、物です」