首相官邸ホームページより
今国会でも焦点となっている天皇の生前退位問題。国民の大多数が皇室典改正を含む恒久的法制化を支持しているが、安倍政権はあくまで今上天皇の一代限りの特別法での対処で強行するつもりらしい。
そんななか、安倍政権の“逆賊”丸出しの裏工作が明らかになった。生前退位の検討は周知のように、昨年8月8日に公開された天皇の「おことば」と呼ばれるビデオメッセージを受けてのものだが、その公開の前に、官邸が安倍首相とべったりの日本会議系学者に「おことば」の内容を漏洩し、カウンター的な動きを依頼していたというのだ。
その学者というのは、八木秀次氏。安倍政権下で教育再生実行会議委員を務め、首相のブレーン中のブレーンとして知られる日本会議系極右“御用学者”だ。生前退位問題でも、この間、「天皇は在位しているだけで十分」と、今上天皇が「国民の象徴」として考え抜いてきた数々の公務と人権を完全否定して、生前退位に猛反対。もちろん皇室典範改正などもってのほかとの立場で、右派の“退位反対キャンペーン”を牽引してきた。
しかし、だとしても、官邸が自ら天皇の「おことば」を事前に漏洩するなんていうことがありうるのか。事実なら、国家公務員の守秘義務違反の可能性もある。
だが、これはどうも事実らしい。この問題は、26日の衆院予算委員会で民進党の細野豪志代表代行が質問したのだが、これにはれっきとした証拠があった。ほかでもない八木氏自身が昨年10月18日に発売されたムック「別冊宝島 天皇と皇室典範」(宝島社)のインタビューのなかで得意げに語っていたのだ。
「天皇陛下の『おことば』が発表されたのは8月8日午後3時のことですが、その前の週の夕方、官邸から私のもとに電話が入りました。電話をくれた担当者は安倍総理とも打ち合わせをしたということでしたが、『おことば』の概略や背景事情を知ることができました」
ようするに、これは官邸スタッフがたまたま漏らしたという話ではなく、安倍首相の指示のもと、積極的に八木氏に「おことば」の内容を報告していたということではないか。これは完全に安倍首相の事前漏洩である。