《今日もマスメディアの誰かが無責任な話ばかりしている
正義のツラして知ったかぶりしてるやつの言うことに耳を傾けてる俺
これ以上答えのねぇ話なんか聞きたかねぇ
騙されねぇぜマスコミ
騙されねぇぜヒットチャートランキング
騙されねぇぜワイドショー》
この歌詞を番組が取り上げると、坂上は「《正義のツラして》っていうのもね、ここまで言われるとちょっとしんどいですね。誰も正義のツラして言ってるわけじゃなくて、その仕事のなかでみなさんが持論を闘わせているだけなんで。逆に言ったら、これを言う長渕さんが、『これ長渕さんの正義なんでしょ?』って思っちゃう。逆にね」と反論。
しかし、坂上がとくにわだかまりを感じたのは、どうやら《騙されねぇぜワイドショー》と名指しされたことだったらしい。坂上は「《ワイドショー》って特定されちゃってるからね」「ジャンルを特定しちゃってるのよ」と言い、このように語気を強めた。
「僕だったら、役者だったらバラエティの番組があって、なんだよみんなヘラヘラヘラヘラしてさ、ってことは絶対言わないわ。音楽番組だって、音楽番組としてひとつのジャンルとして成立してるんで。バラエティ、音楽番組、ニュース、いろんなのひっくるめてテレビっていうエンタテインメントだから。この(長渕がワイドショーと)特定しちゃったことが、ちょっとね」
みんな真剣に持ち場でがんばっているし、すべてはエンタテインメントなんだから、余所から文句を言うのはどうなの? ……坂上が言いたかったことはこういうことなのかもしれないが、そうやってエンタメだからと逃げ、都合の悪い話をしないマスコミに「お前ら情けないだろ」と詰め寄ったのが長渕の歌詞だったのではないか。
だが、今度は長渕のファンであるらしいブラックマヨネーズの吉田敬が、こんなことを言い出した。
「加藤紗里(注:この日の番組ゲスト)とか流す時間があるんやったら、もっと現実的に危ない状況、たとえば外国から日本の領海に、みたいなところとかも、そこはもっとわかりやすくみんなで放送する努力をせんと」
いやいや、中国の領海侵犯なんかの話は、『ひるおび!』(TBS)や『情報ライブ ミヤネ屋』(読売テレビ)などワイドショーの大好物で、いまでもがんがん放送されている。何より長渕は、こう歌っていた。
《俺達の東北、仙台、俺達の九州、熊本 そして福島も頑張ってんだ
オリンピックもいいけどよぉ 若者の貧困 地域の過疎化どうする?》