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介護殺人に追い込まれた家族の壮絶な告白! 施設に預ける費用もなく介護疲れの果てにタオルで最愛の人の首を…

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『介護殺人 追いつめられた家族の告白』(毎日新聞大阪社会部取材班/新潮社)

 介護殺人や心中が、2013年以降全国で少なくとも179件発生し、189人が死亡していた。今朝の読売新聞がこんな衝撃的な数字を報じ話題となっている。

 高齢者の介護をめぐって、介護者である“家族”による殺害や心中などの“介護殺人”。長年連れ添った高齢の夫を妻が殺害する、また高齢の両親と心中しようとした娘がひとり死に切れず逮捕される──。警察庁の犯罪統計でも、2007年から2014年の8年間で「介護・看病疲れ」を動機とする殺人での検挙数は実に356件に上る。

 そんな介護殺人の実態に迫ったのが『介護殺人 追いつめられた家族の告白』(毎日新聞大阪社会部取材班/新潮社)だ。本書では介護殺人に焦点をあてるだけでなく、加害者となった“介護者”本人に直接会いインタビューを行っているが、そこで語られる介護の“内実”と、その末に起こった“家族間殺害”はまさに壮絶だ。

 2012年に妻・幸子(71、仮名)を殺害した木村茂(75、仮名)は、20代で結婚し、3人の子どもにも恵まれた。高度成長期で仕事に追われ続けた茂だったが、退職後は車を購入し、妻と旅行をすることで恩返ししたいと考えていた愛妻家だ。退職後は新聞配達のアルバイトをして旅行資金を貯めた。

〈お金が貯まると遠方に出かけた。2カ月に1回、北海道の知床や旭川、沖縄県の石垣島などを旅行した。中国、カナダなど海外にも行った。カナダのナイアガラの滝では船で滝のそばを通り、2人ともびしょ濡れになって大笑いした〉

 幸子に異変が起こったのは 2009年頃だったという。

〈家の中で突然、タンスの引き出しを繰り返し開閉したり、使わないアイロンを用意したりした。パートとして働いていた飲食店でも簡単な注文を取り間違えるようになった〉

 そのため幸子はパートを辞めたが、当初、茂は妻が認知症だとは思ってもいなかった。しかし2011年、幸子が事故で左腕を骨折し家事ができなくなって以降、その症状は急速に悪化していった。

〈骨折のために家を出ようとした時、幸子は下着しか身につけておらず、茂が慌てて連れ戻した〉

 医師に連れて行くと、認知症とパーキンソン病の症状も併発している珍しいケースと診断された。茂は妻の介護に専念する。

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