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つんく♂「アイドルが恋をしたらすぐ分かる」発言をファンが絶賛! アイドルを所有物扱いする秋元康との違い

 つんく♂本人は秋元康への宣戦布告のようなつもりでこのようなことを話したわけではないだろうが、改めて振り返ると、つんく♂と秋元康とのアイドルへの接し方は対照的だ。

 前述のように、つんく♂は自身がプロデュースする女性アイドルをきちんと観察し、思春期の多感な時期にいる彼女らの細かい感情の機微や特徴を作品に活かそうとする。だが、秋元康はそういったものを一顧だにせず、自分の「オッサン」目線のコンセプトをアイドルに押し付ける。その究極系が、〈女の子は可愛くなきゃね 学生時代はおバカでいい〉〈女の子は恋が仕事よ ママになるまで子供でいい〉といった歌詞で世間から猛反発を受けたHKT48の「アインシュタインよりディアナ・アグロン」であろう。

 実際、つんく♂の歌詞は秋元康的な歌詞とはまったくちがうものだ。それゆえに、つんく♂の歌詞は、朝井リョウや柚木麻子、石田衣良といった芥川賞・直木賞作家から高い評価を得てきた。たとえば、朝井リョウはこのように分析する。

「モーニング娘。の「Give me 愛」には「こんな風に人を スキになるのなんて もっと先だって思ってた」という歌詞があるんですよ。「もっと先だって思ってた」ということは、自分はいつかはアイドルを卒業して恋愛をすることがあると思っていた、ということじゃないですか。あなたに性欲があることはおかしくないよ、あなたが恋愛をすることはおかしくないんだよ、って、つんく♂さんがアイドルの子たちにきちんと伝えているような気がするんですよ」(「本の話WEB」15年5月9日)
「下手な作詞家だと“一生ないと思ってた”とかにすると思う。アイドルには恋愛感情はないってことにしないといけないから。でも、“もっと先だと思ってた”ってことは、いつかはあると思ってたってことですよね。そこにつんく♂さんのアイドル観が出てるなと思って」(『HELLO! PROJECT COMPLETE ALBUM BOOK』音楽出版社)

 アイドルブームはとうに終わり、14年には4つにまで増えたAKB48グループの紅白歌合戦出場枠も今年はついにひとつになった。これからまた、長い「アイドル冬の時代」に突入するのかもしれないが、そんな時期にこそ、真摯なつくり手が生み出した確かな作品に光が当たるはずだ。今後もつんく♂の書く作品が楽しみである。
(新田 樹)

最終更新:2016.12.05 11:07

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