そして、まるで彼の書く歌詞の1行のようなこんな言葉を放ってこの話題を締めるのであった。
「わかりやすいよ。初めて恋をした女の子は、その気持ちなんて隠せない。目がキラキラしているから。『今はこの1行の歌詞をもらうよりも、早く帰って電話がしたい』って目をしている」
この発言が掲載された「B.L.T.」が発売されるや否や、ネット上には微妙な心の機微を読み取るつんく♂の感性に驚く声が溢れた。
〈女目線の歌詞が書ける作詞家は他にもいるけどおっさんなのに目線の高さが中高生女子と同じなのが凄い〉
〈つんく乙女心把握しとんなぁ〉
〈そういう女の子達をみてまた歌詞に対してのインスピレーションが生まれるってことはあるんだろうな〉
つんく♂の歌詞を読むと思春期女子の淡い心の機微があまりにも具体的に書かれていることから、ネット上ではこれまでも「つんく♂の心のなかには女子中学生が住んでいる」とネタ的に言われ続けてきた。
この対談でも小出が「つんく♂さんを構成するものとして“妄想力”が大きな要素としてあると思うんです。言い換えれば、ディティールの細かい“豊かすぎる想像力”というか。つんく♂さんが積んでいる妄想エンジンの馬力ってすごいな、と感じます」と語っているが、その機微を読み取る「豊かすぎる想像力」は創作に関わる場面だけでなく、日常生活でも活かされていたようだ。
しかし、なぜいまになって「“アイドル”と“恋”」に関するこんな過去の裏話をわざわざ暴露する気になったのだろうか。
実は、今年1月にもつんく♂はインタビューでこんなことを語っていた。
〈まず、自分が高校生のファンだとして、「どんな問題が起こったら、そのアイドルの応援をやめるだろうか」と考えました。メンバーとプロデューサーの距離が近すぎたら、本気でむかつくだろう、もし何か間違いが起こったら発狂するだろう、と思ったので、「モーニング娘。」のシングル3~4枚目までは、テレビの同じ画面には絶対に収まらないようにしていましたね〉(産経新聞1月7日付)
この発言はファンの間で大反響を呼び、当時本サイトでも記事を配信している。この発言が大きなリアクションを呼んだ理由、それは『だから、生きる。』のなかに、こんなエピソードが載っていたからである。
〈秋元康さんからは「プロデュースは、教え子と結婚してこそ完結だから」みたいなことを言われた〉