記事は実際に「死ぬまでSEX」特集を読んでみた女性がその感想を述べるところから始まる。27歳のAさんが疑問を抱いたのは、誌面に出てくる女性が不自然なまでにやたら「おじさん好き」をアピールしているところだった。そして、このような記事を鵜呑みにした人のせいでセクハラが起こっていると切って捨てる。
「若い女性のコメントが印象的だった。「おじさんがかわいい」「プニッとしたおなか周りの肉がいい」とか。周りに結婚している子は少ないけど、もし友人が50、60代の男性と関係を持ったら、ギョッとするというか……。「父親以上の年齢だけど大丈夫? 結婚を視野に入れてちゃんと考えようよ」と言いたくなる。こんな記事が出るから、セクハラが減らない。「若い子は僕らが行っても大丈夫」と勘違いする」
誌面に出てくる女性のコメントが、読者のメイン層である中高年男性に利するものしかないという点は52歳のBさんも指摘する。
「男性向けに、いいように書かれている。女性も特集の取材ではマイナス面は語らないので、本心なのか疑問。昨日、中小企業の社長をしている60代男性に聞いたんです。こうした特集はインパクトがあるから「おっ」と思うけど、内容は想像がつく、と。ただ、その方も「若い子が俺らを勘違いさせる」と。「違うってば」と説得しました。ゴルフで「わーすごい」とほめても、それはゴルフの腕を指しています」
また、前述「週刊現代」が指摘した、「死ぬまでSEX」の押し付けは妻やパートナーにとって迷惑でしかないのかもしれないという問題だが、47歳のCさんもまたそれを裏付けるかのような発言をしている。
「私もそう考えていたけど、2年前から体調が悪くなって、激しいのはダメだと医者に言われた。夫を拒むこともあり、不満そう。友人もひざが痛いと話している。「死ぬまで」は重い」
「死ぬまでSEX」の言説に対しては、前々から医学的な見地からも疑問の声が発せられてきた。たとえば、ウェブサイト「KERAKU」で日本家族計画協会理事長の北村邦夫氏は、性行為時に、心拍数、呼吸数、血圧が上昇するため、〈高血圧症状のある男女の場合、セックスの最中の瀕死の危険もありうる〉と高齢者のセックスに警鐘を鳴らしている。