さらには、この「再開発等促進区」の提案と同時期にあたる12年7月に発表されたJSCによる新国立競技場のデザインコンペ募集要項では、高さについて〈h=70m〉と記されていた。つまり、当時はまだ15メートルまでという規制があったにもかかわらず、それに違反する高さをJSCはすでに設定していたのだ。
その後、13年に東京都は建物の高さ制限を75メートルから80メートルにまで緩和。15年には、前述のように、神宮外苑地区の本格的な再開発に踏み出したのだ。
この規制緩和の裏についてもさまざまな疑惑がささやかれており、さらなる取材は必要だが、いずれにしても、この神宮外苑地区再開発もまた、森会長と親しいゼネコンが建設を受注する可能性はかなり高い。
東京五輪開催という祝祭ムードの陰で、森・石原という政治家とゼネコン、明治神宮、伊藤忠、三井不動産などの土地所有者たちの思惑が一致し、強行されてしまった神宮外苑再開発。一方、地元では、新国立競技場の改築のために都営霞ヶ丘アパートでは住人への強引な立ち退きや行われ、再開発地となった明治公園の野宿者の追い出しがいまも行われている。
3施設の建設中止ぐらいではけっして取り除かれない、五輪利権への不信感。そしてこれは築地市場移転とも通底する問題だ。はたして、小池都知事は五輪開催を口実に反対住民を無視して推し進めた神宮外苑再開発をどう考えるのか。この問題にメスを入れなければ、本当の「都民ファースト」とは言えないだろう。
(編集部)
最終更新:2017.11.12 02:39