この「リレー方式」での暫定開通は、新幹線と在来線の両方を走るフリーゲージトレイン(FGT)の開発難航による計画遅延により、JR九州と国交省が代案として提示したものだった。そして、今村氏はこの明らかにその場しのぎが見え見えな「リレー方式」による2020年暫定開業を国政側から推進し、JR九州の望む早期開通をバックアップしてきた“実績”がある。今年2月には長崎新聞のインタビューでこのように答えていた。
「当面は新幹線を走らせて(リレー方式で)乗り換えをするしかない。在来線の武雄温泉-新鳥栖間は、FGTを断念し、新幹線区間としてフル規格の整備を早急に検討すべきだ。
ただ、早くやらないと財源確保が難しくなる。なぜならば昨年3月開業の北陸新幹線長野-金沢間が非常に好調で、大阪まで早く結ぶべきだという声が強くなってきた。敦賀-大阪のルートが固まり、動きだすと(長崎ルートは)何十年先になるか分からない」(長崎新聞16年2月19日付)
これでほぼ毎年JR九州グループ企業から巨額の献金を授受していたことを考えると、今村氏は明らかに“古巣”に政治的に便宜を図っているようにしか見えないだろう。
赤旗の取材に対し今村氏の事務所は、「政党機関紙には、回答を控えている」というが、はっきり言って論外の対応だ。いうまでもなく国会議員、それも閣僚クラスの有力者が出身企業から巨額の献金を受け取ったうえその企業に便宜をはかっていたのならば、国民に対する背信行為だ。今村氏はきちんと疑惑を説明する必要がある。
しかし、今回赤旗が報じた今村復興相の便宜供与疑惑も、おそらく後追いするマスコミは皆無だろう。たとえば先日発覚した稲田朋美防衛相の“白紙領収書”を使った巨額不正疑惑についても、テレビや新聞という大マスコミは、スクープを出した赤旗に続く動きをつゆほども見せなかった。写真週刊誌や日刊ゲンダイ、本サイトなど複数メディアが後追いしたにも関わらず、だ。
しかも、この白紙領収書をめぐる政治と金の疑惑は、稲田氏側の単純ミスなどではない。この国の政権与党である自民党全体に蔓延している大問題なのだ。稲田氏側は政治資金パーティの代金を払った際に、金額や日付などが未記入の領収書を得て、自分で書き込んでいた。これは刑法の文書偽造罪にあたる可能性が高く、過去には政治団体や公務員が支出をごまかして横領事件に発展したケースもある。赤旗の調べでは稲田氏側が書き入れた白紙領収書は計260枚、約520万円にのぼるというが、これは氷山の一角だろう。