小説、マンガ、ビジネス、週刊誌…本と雑誌のニュース/リテラ

menu

『あさイチ』でイノッチ、有働由美子らが戦争への危機感を表明し「叩かれても黙らない」とタブーに抵抗を宣言

 たとえば、井ノ原は「(政治の話題が)若干タブーな感じ」と言うと、ゲストのマキタスポーツも、「そうこうしているうちに、タブーがどんどんどんどん拡張していって広まっていくうちに、大事なことが進んでいっちゃってるような気もしますよね」と指摘した。

 また、司会の有働由美子も、“空気を読んで自分の言いたいことを封印することで、大きな空気に加担してしまうのが怖い”と感想を述べたのだが、ここで井ノ原は有働に「有働さんみたいな人、ぼくもそうだけど、バーって喋る人は、喋ったらいいと思うんですよね」と語りかけた。すると有働は「叩かれてもね」と返答し、井ノ原も「叩かれてもいい」と胸を張った。

 叩かれたとしても、大きな流れに与することなく言いたいことは言う。──こうした番組出演陣とスタッフの覚悟があるからこそ、『あさイチ』は弱腰のNHKにあって、弱者切り捨ての貧困や、他の情報番組では少しもクローズアップされない沖縄、戦争などの問題にも踏み込んでこられたのだろう。とくに、そうした覚悟が感じられたのは、井ノ原のこんな言葉だ。
 
「まわりから『そんなこと言わないほうがいいんじゃない?』と言われるような、そういう人がいなくなるのがいちばん怖い」

 柳澤は、「戦争ってよくはじまるときに『正義のための戦争』って言うけど、ぼくは戦争っていうのは形容詞つかないと思うんですよ。戦争は戦争。戦争が一度はじまってしまったら、人が人を殺す現実しかないってつくづく思う」と戦争の本質を語れば、井ノ原は「毎日、朝ドラ観たいじゃないですか。で、観ながらああだこうだ言いたいし」と“ただ暮らしを守りたい”という生活者としての戦争に反対する素直な感想を口にした。──こうしたトークはとてもシンプルな、平和を考えるうえで当然のメッセージだ。しかし、この特集がはじまった際の、いつもより張り詰めた有働の表情からも“これくらいの内容”でさえ現在のNHKでは放送に緊張が伴うことが見てとれた。

 だからこそ、「叩かれても黙らない」とあらためて放送中に誓い合った井ノ原や有働には、大きなエールを送りたい。ふたりと柳澤にはこれからも、「戦争はイヤだ」という当たり前のことを当たり前のこととして、堂々と伝えつづけてほしい。そしてぜひ今度は、憲法改正に正面から切り込んでほしいと思う。
(水井多賀子)

最終更新:2016.08.04 09:34

関連記事

編集部おすすめ

話題の記事

人気記事ランキング

カテゴリ別に読む読みで探す

話題のキーワード

リテラをフォローする

フォローすると、タイムラインで
リテラの最新記事が確認できます。

プッシュ通知を受け取る 通知を有効にする 通知を停止する