
「文化芸術懇話会」での言論弾圧発言に象徴されるように、安倍政権と自民党のメディアへの圧力はますますエスカレートしている。しかし、元はといえば、権力をここまでつけ上がらせてきたのは、マスコミ自身の過去の“権力べったり”の姿勢に大きな原因がある。その一端が垣間見えたのが、『新聞記者は何を見たのか 検察・国税担当』(講談社)である。 著者は中日新聞・東京新聞の検察担当を長く務めた村串栄一氏。2013年に定年退社するまで、数々の政界疑獄事件を担当してきたという。 しかし、そこには、唖然とするような権力との癒着が書かれていた。それを端的に示すのが、「検察という魑魅魍魎」「匍匐前進の日々」「沈黙の国税を崩せ」といった章の末尾ごとに書かれた「エピソード」というコーナーだ。...