今回の『新報道2001』では、いったいどのような経緯で「基本的人権の制限もやむを得ない」などという治安維持法もかくやという発言が飛び出したのだろか?
番組では、先日発生したフランス・ニースでのトラック突入テロ事件を取り上げ、その事件を踏まえて2020年東京オリンピックの警備はどうあるべきかという議論が行われていた。
その議論の口火として大島由香里アナウンサーが掲げたフリップに書かれていたのが、先の宮家氏による「世界基準のセキュリティー実現のためには基本的人権の制限もやむを得ない」という意見だった。そして、そのフリップに対して宮家氏はこう補足説明を行う。
「もちろん基本的人権は大事ですから、それを制限するということよりもね、基本的人権で許される枠のなかで、公共の安全のために福祉のために、ある程度の義務を負わなければならないと思うんです」
これに対し猪瀬直樹元東京都知事は、ロンドンオリンピックでの前例をあげながら、警備を考えるなら基本的人権の制限などではなく、警察で補いきれないところを最新のテクノロジーをもつ民間警備会社とどう協力し合っていくかを議論するのが重要なのではないかと答えた。
猪瀬氏の提起した、イノベーションの進んだ民間警備会社との協力という議論について、前鳥取県知事の片山善博氏もこう賛成の意を示し、宮家氏の「基本的人権の制限」というトンデモ案をはねのけた。
「基本的人権を極端に制限することに繋がらないような、技術とか情報を駆使して、犯罪を抑止するってことは私は大いにやったらいいと思うんですね」
さらに片山氏はこう続けて宮家氏の「基本的人権の制限」がいかに危険な発想かを語る。
「基本的人権をかなり制限するってことは、よほど慎重でないといけないと思います。平和の祭典であるオリンピックで基本的人権がかなり制約されましたというのは……。また、日本の場合にはですね、いったん制約したものが、非常時に制約したものが日常化するっていう懸念があるわけですよね。だからそれをよく念頭において、できる範囲っていうのはかなり限られてくるんじゃないかなと」
片山氏の主張する通り、いったん制限された人権は間違いなく、オリンピック後も元に戻ることはないだろう。自民党憲法改正草案を一読すれば分かる通り、政権は国民の権利をできる限り制限したいと考えているからだ。
それを裏付けるかのように、政権応援団のひとりであるフジテレビの平井文夫・上席解説委員は片山氏の意見をこのように否定するのだった。