だが、肝心のテレビは、“安倍応援団”の自称ジャーナリストたちが、そんな石田の強い思いを踏みにじることに必死だ。
たとえば、会見の生中継を行った『直撃LIVE グッディ!』(フジテレビ)は、司会の安藤優子が「都知事選の争点はという質問だったんですけれども、国政に関わる、憲法改正や安保法案のほうにいってしまったんですけど、これどうしてもズレを感じるんですけど……」と言い、御用ジャーナリストの田崎史朗時事通信特別解説委員は「国政の問題と都政の問題がごっちゃ」「具体論がない」と切り捨てた。
また、同じく生中継した『情報ライブ ミヤネ屋』(読売テレビ)でも、“安倍首相の腹話術人形”である日本テレビ官邸キャップの青山和弘が「東京都政に思い入れがあるからという会見ではなかった」と否定的な見解を示した。
「安倍首相は憲法改正を隠して選挙をやっている」という石田の真っ当な批判は、安倍自民党に与した報道姿勢に徹するこうしたテレビ番組への批判でもあったはずだ。にもかかわらず、そうした石田の意志を無視して、憲法改正の問題に言及したことも矮小化して伝えているのである。
今回の会見で石田は「メディアの言論の自主規制」にも言及し、「デモに行くと注意を受けたり」「仕事もだいぶ減った」と語り、CM契約についても「何かしらのペナルティーは発生することもある」と述べた。また、妻である東尾理子からも「生活やっていけるの?」「(税金)払えるの?」と言われたことを明かし、都知事選出馬は所属事務所からも妻からも反対されているような状況である。私利私欲のためなら、出馬も政治的発言もしないほうがいいのはたしかだ。
それでも石田が「野党統一候補なら出馬したい」と表明したのは、暴走する与党を止めるため、それだけだ。会見で石田はこう話した。
「いろんなことがあったじゃないですか。80年、90年前に。ああいうふうにならなければいいなという、それだけです」
この石田の行動を無駄にしてはいけない。都知事選の前には重要な参院選がある。そして参院選の争点は憲法改正であり、この国を戦前に引き戻してしまうかどうかの選挙なのだ。
(編集部)
最終更新:2020.08.23 07:22