原発のこういう状況を知っていれば、現実に大地震が起きたときに、批判と懸念の声を上げるのは当然ではないか。
ところが、ネット上にひそむ原発ムラ関係者やネトウ連中は、原発を再稼働するために、こうした懸念の声を「政治利用だ」と決めつけ、「みんなが一丸となっているときにそんなことをいうのは不謹慎だ」などという無茶苦茶な論理で批判を封じ込めようとする。
いや、ネット上だけではない。電力会社に巨額広告漬けにされているマスコミも同様だ。
たとえば、今日17日に放送されたフジテレビの『新報道2001』では、番組の最後にわざわざ、「今回の地震は稼働中の川内原発、停止中の玄海原発、伊方原発が近くにあり、その影響を心配する声も上がっていますが、東日本大震災以降、原子力規制委員会も新しい耐震基準を整備しています。デマに流されず、冷静に公開された情報を受け止めてください」などと、わざわざ原発への不安の声をかき消すアナウンスをする始末だった。
そして、こうした声に引きずられるかたちで、一般のネットユーザーまでが「政治利用はよくない」「いまは原発のことを言うべきときじゃない」などと言い始め、原発の危険性の議論そのものがタブーになってしまっている。
しかし、5年前の東日本大震災を思い出してほしい。福島第一原発事故が進行しているあの最中にも、ネット上では同様に、懸念と不安の声を嘲笑い、「反原発の連中が不安を煽っている」と原発危機の現実から目をそらせようと動いている連中が大量にいた。
しかし、実際には、故・吉田昌郎所長の調書が示していたように、福一の危機は我々が考えている以上に進行しており、吉田所長が「東日本壊滅を覚悟する」ところまで深刻化していたのである。
原発利権に骨の髄まで犯されて、安全神話を垂れ流している連中に騙されてはならない。むしろ、この大地震が起きた直後のいまこそ、原発の危険性を大きな声で叫ぶべきなのだ。
(エンジョウトオル)
最終更新:2016.04.17 09:21