他にも、原発に不安を示したり、運転中止を求めるツイートなどに対しては、必ず〈自然災害まで反原発に利用するゲス〉〈今原発を止めたら大規模な電力不足でますます状況が悪化する〉という攻撃が加えられる状況になっている。
こうした攻撃を仕掛けている連中は、「原発を止めたら電気が足りなくなって救助できなくなる」といったありえない主張を平気で口にしていることからもわかるように、原発をどうしても運転させたい原発ムラの関係者と、頭の悪いネトウヨが中心だ。
しかし、なかには“善意”で「震災が起きている原発に触れることは政治利用」だと信じ込んでいる人たちもいる。
〈全員が一丸にならないといけない時期なのに、こういう意見は残念〉〈反原発の気持ちはわかるけど今はまず、この災害に立ち向かうべき〉
こういうことを言う人たちにこそ釘をさしておきたいのだが、原発はけっして「政治」や「イデオロギー」ではない。ひとたび近くで自然災害が起きれば、原発はすぐに国民の生命や地域の環境を脅かす。つまり、いま、目の前にある“現実の危機”なのだ。そのことは、5年前の東日本大震災のことを思い起こせば明らかだろう。
しかも、今回については、たんに「比較的近い場所で大地震が起きたから不安」というレベルの話ではない。今回の地震によって、原発直下で大地震が起きる可能性が高まっていると専門家が指摘しているのだ。
一連の地震は、熊本県を東北から南西に横切る日奈久断層帯、布田川断層帯という活断層において発生したが、これらの活断層は「中央構造線断層帯」の延長線上にある。
「中央構造線断層帯」というのは、九州の西南部から、四国を横断し紀伊半島、関東にまで延びる日本最大級の活断層だが、この中央構造線が九州、四国などでおおよそ2000年に1回動いており、マグニチュード8クラスの巨大地震を発生させていることが近年の研究で明らかになっている。