衆議院議員安倍晋三公式サイトより
先週3月22日、安倍内閣が日本共産党について、「現在においても破壊活動防止法(破防法)に基づく調査対象団体である」「『暴力革命の方針』に変更はない」との答弁書を閣議決定した。無所属・鈴木貴子衆院議員の質問主意書に対する政府の回答だが、これに対し、ネット上では保守派やネトウヨたちが歓声をあげている。
「そんなテロ政党がドヤ顔で政治家やってるのが放置されてる不思議」「共産党を支持してる人もテロリストw」「日本から消えてどうぞ」「そんな連中と組む民進党w」「なるほど「民共」で暴力革命かw」
毎度のことながらなんという頭の悪さ。こいつらは破防法というのがどういう法律なのか、まったくわかっていないらしい。
破防法とは、「暴力主義的破壊活動」を行った団体に対する規制措置などを定めた法律で、たしかに共産党をずっと調査対象にしてきた。同法とセットで設置された破防法適用のための調査機関である公安調査庁(公安庁)のレポート「内外情勢の回顧と展望」の2016年1月版でも、イスラム国を始め、朝鮮総連、オウム真理教、中核や革マル等の新左翼セクト、一部右翼団体などとともに、現在でも日本共産党について述べられている。
しかし、この破防法はもとももと東西冷戦下の1952年に共産党を排除する政治的な目的でつくられた法律。しかしこの間、なんの具体的な成果も上げられず、破防法も公安庁も、自民党や警察関係者にすら「無用の長物」「予算の無駄遣い」と冷笑されてきた存在なのだ。
長年日本の公安当局を取材している記者が解説する。
「破防法と公安庁に存在価値がないというのは政治的なスタンスとは関係のない客観的事実ですよ。公安庁はその成り立ちから、共産党を取り締まることを最大目的にしてきたが、この60年以上、なんの破壊活動の証拠も掴むことはできなかった。途中で、自民党からも『こんなところに膨大な予算をかける意味がないだろう』という批判が出て立場が危うくなっている。それで、調査対象をシフトして、1995年のオウム真理教事件で初めて団体規制請求をするんだけれど、これも却下されている。最近も、極左過激派が参加しているなどとして、安保法反対運動、反原発運動、沖縄基地反対運動等までもマークしているが、ほとんど妄想に近いような内偵を繰り返しているだけで、なんの成果も上げられていない。そうしたなかで『共産党は今でも調査対象か?』なんて主意書が出てきたら、公安庁の連中は自分たちの存在理由を誇示できるから、大喜びで、イエスと答えるだろうね」
今回の主意書は、公安庁にとって、存在を忘れられがちな自分たちをお上にアピールする絶好の機会だったことは想像に難くない。