そもそも放送番組審議会とは、放送法第6条で「放送番組の適正を図る」ため、放送事業者に設置を義務づけられているものだ。権力の介入を許さない放送法の理念から考えれば、放送番組審議会こそ“政治的公平”が求められ、本来なら放送が権力の言いなりになっていないかどうか、放送番組審議会が厳しく内容をチェックするべき場である。とくに放送法を政権が曲解して、政治的介入を進める現在は、放送番組審議会が自由な報道・番組づくりを行えているかを局や制作者に問わなければならない。しかし現状はまったく違い、権力におもねる人物が委員長という座におさまり、フジでも熱烈な安倍首相応援団の一員である八木秀次・麗澤大学教授が委員を務めている。
あからさまな権力側の人間を重用し、本来あるべき機能も果たさず、権力擁護や差別発言が飛び交う。しかもキー局5社は、この番組審議会の模様を自局の自己検証番組内で少し放送するだけで、HPにのせる議事録では都合の悪い発言をカットし、発言者の明記も行っていない(NHKも発言者は明記せず)。こんな体たらくでは、テレビはもっと悪化していく一方だと思わざるを得ないが……。
(水井多賀子)
最終更新:2017.11.24 08:38