ヘイトスピーチの根絶を話し合う場で、しかもその委員長が、政権に都合の悪い発言は全部ヘイトスピーチとして取り上げる……。平沢議員のヤジの言い訳といい、この問題といい、レベルの低さが明らかになった安倍政権。だいたい、平沢議員はヤジを飛ばしている模様をカメラにばっちりおさめられていたために特定されたが、国会でヤジを飛ばしたのは彼だけではない。少なくともあの日、平沢議員の「一体誰が書いたんだよ、それ」以外にも、「やめろよ、やめろよ、もう」「誰が書いたの? 誰が書いたの!」「本人に会ったのか!?」「出典は? 出典! 出典は何だよ、出典は!」「うざーい!」というヤジが飛び交っていた。一体、何が「うざーい!」なのか、発言者は名乗り出てきて説明すべきだろう。
そして、もうひとつ。きょうの放送で平沢議員は何度も「待機児童問題は前倒しで、予算もつけてやっている」と強調したが、既報の通り、待機児童は昨年、5年ぶりに増加し、2万3167人も入所できない事態となっている。こうして「やっている」と言いながら、待機児童問題が遅々として進まず、そればかりか安倍政権の新しい子育て支援によって3人以上の子どもを抱える家庭で保育料が多いところで月3万円も増額されるなどの問題が、なぜ起こっているのか。その根底には何があるのかを、じつはきょうの放送で玉川氏が平沢議員に突きつけていた。
「もっとはっきり言いますよ。たとえば、結局こういう待機児童問題っていうのもね、女の人が働くからこういう待機児童問題みたいなのが生まれるんだ、と。逆に言えば、働かないで家を守っていればこんな問題なんかないんだって思いが、根底にありませんか?」(玉川氏)
この質問に平沢氏は「ないない、まったくないです」と答えていたが、そんなはずはない。平沢氏は安倍首相が会長をつとめる創生「日本」や、神道政治連盟国会議員懇談会、日本会議国会議員懇談会などの極右思想に傾倒した組織に所属するが、それらの組織の主張は“伝統的家族観を守ること”、すなわち“女の役割は家を守ること”といったものだ。経済政策が頭打ちであるため、労働力を捻出すべく「女性の活躍」を謳いはじめたものの、根本的には「女は子育てに専念すべし」という価値観であるため、働く母親の声に真摯に耳を傾けることもなければ、平沢議員の「女性の方が書いた文章ですかね?」という発言に明らかなように待機児童問題を母親だけの問題として捉え、具体的政策としては何ひとつ一向に進まないのだ。
しかも、これは本丸である安倍首相にも言えることだ。安倍首相は著書『美しい国へ』(文藝春秋)のなかで、少子化対策についてこう述べている。
〈従来の少子化対策についての議論を見て感じることは、子どもを育てることの喜び、家族をもつことのすばらしさといった視点が抜け落ちていたのではないか、ということだ。わたしのなかでは、子どもを産み育てることの損得を超えた価値を忘れてはならないという意識がさらに強くなってきている〉