倉本聰『昭和からの遺言』(双葉社)
ついに安倍首相が2日の国会で憲法改正について「私の在任中に成し遂げたいと考えている」と表明、今年夏の参院選では「憲法改正」が争点になることが明確となった。もし夏の参院選によって改憲勢力が3分の2を占めれば、いよいよこの国は戦争のできる国、人権が無視される国へと恐ろしい一歩を踏み出すことになる。
選挙でこの男を勝たせていいのか、この男に日本の命運をかけていいのか──。いま、このように強く訴っているのは、『北の国から』などで知られる脚本家の倉本聰氏だ。
「自民党が衆院選で圧勝した、一昨年の『一二・一四』を忘れてはいけないと思います。この日、国民はデフレ脱却を謳う『アベノミクス』という餌に飛びつき、裏にある安保法制や憲法改正に向けた動きを見抜けなかった。その結果、日本人は大事なものをまた失ってしまうのではないでしょうか」(文藝春秋「週刊文春」2月25日号インタビューより)
倉本氏といえば、安保法制反対を掲げた「戦争をさせない1000人委員会」の呼びかけ人のひとりであり、昨年には「女性自身」(光文社)のインタビューで「安倍さんは福島より五輪。冗談じゃない!」と、安倍首相の原発政策を猛烈に批判。衆院で安保法案が可決された後も、中日新聞のインタビューに応じ、安倍政権に対してこう問いかけた。
「弾の飛んでくるヒュルヒュルという音や機銃掃射で狙われる音など、皮膚感覚で体験しないと『戦争』が何かは分からない」
「(安保法案に)賛成するなら、首相も含めて自分が最前線に立つべきだ」
倉本氏の怒りは、昨年末に発売された著書『昭和からの遺言』(双葉社)にも溢れている。
〈この国は集団的自衛権を認め
他国の為に斗う気だという
国のトップがそう云っている
だが実際に国のトップは
先頭に立って斗うのだろうか
そういう覚悟を持っているのだろうか
自らの家族を戦場に出すのか
殺し合いの場に出す覚悟があるのか〉