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倖田來未、大塚愛、ELTの曲も放送禁止に! 独占禁止法違反判決でJASRACの横暴な手口が明らかに!

 JASRACが既得権を守るために行っていた振る舞いのなかで問題とされたのが、放送各局との間で「包括契約」を交わしていたことだ。「包括契約」とは何か? 三野氏は「週刊SPA!」(扶桑社)15年12月8日号でこのように話している。

〈当たり前のことですが、放送局はどう頑張っても1日24時間しか放送できない。1曲5分として、一日中音楽だけかけていたとしても300曲弱。その枠いっぱいに対してJASRACが包括契約しているわけです。そのシステム上では、イーライセンスが管理している楽曲について、放送局は別途“余分な”使用料を払わなければならなかった。それではおかしいので、JASRACの管理分とイーライセンスの管理分の比率を計算して、それに基づいてこれまでJASRACに支払っていた包括契約の額を按分しましょうと、我々は提案したんです〉

「包括契約」とは、「どの曲が何回放送されたか」などを1曲ずつ正確にカウントして楽曲使用料を算出する方法をとらず、放送局がJASRACに月単位、または年単位で一括して払うことにより「JASRACに登録されている曲はすべて使用可能」という許諾をとる方式である。つまり、JASRACがこの契約システムを変えないかぎり、放送局はJASRAC以外の著作権管理会社に登録されている楽曲を使用するごとに追加の使用料が発生することになる。

〈しかしJASRAC側は「新規事業者が参入しても、こちらの徴収の方法は変わりません」と言ってきた。それは「おかしいでしょう?」と言わざるを得ない〉(前出「週刊SPA!」より)

 JASRACが「包括契約」という既得権益をかたくなに手放さなかったことにより、放送局はJASRACが管理していない曲を使用することごとに、別途申請や支払いをする義務が生じる。そこで当然起きるのは、JASRAC以外が管理している曲は面倒だから放送しないという動きである。なぜなら、JASRACは市場の90%以上を独占しており、JASRACに登録されていない曲を締め出したところで、放送局側は特に不便はないからだ。前出の『やらまいか魂 デジタル時代の著作権20年戦争』では、その時に各放送局でこんな内部文書が出ていたことを明かしている。

〈たとえば、J-WAVEが番組担当者あてに配布した「イーライセンス社 放送使用楽曲の管理業務開始のお知らせ」には、わざわざ丁寧に【選曲時のお願い】として、「前述のとおり、別途報告・支払いなど煩雑な作業が発生します。 *やむをえない場合を除いて、当面は極力使用を避けるよう、お願いします」と付け加えてあった。
(中略)
 さらに、FM NACK5という埼玉の放送局にいたっては、〈楽曲オンエアの制限について〉として、大塚愛、倖田來未、Every Little Thingなど具体的にイーライセンスが管理するアーティスト名と作品名の60曲リストを添付し、「オンエアを当分見合わせることに致します」としたのは決定的だった。後日、裁判では大きく問題視された〉

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