だいたい安倍首相は、何かあるとすぐに北朝鮮の弾頭ミサイルや中国の核兵器の話を持ち出して危機を煽るが、じゃああれを「ミサイルじゃなくて弾薬」「核兵器ではなくて弾薬」とでも言うのか。んなわけあるまい。
憲法上ありえないだけではなく、中身自体も支離滅裂だった安保法制。第1位に輝く暴言は、このような安保法制の無茶ぶりが表れた、あの象徴的な言葉だ。
★ 1位
安倍晋三・総理大臣
「(ホルムズ海峡での機雷掃海は)現実の問題として発生することを具体的に想定していない」
(9月14日、参院特別委員会で)
ズコー、である。ご存じの通り、安倍首相は何度も何度もホルムズ海峡における機雷掃海を集団的自衛権行使による海外派兵の代表例にしてきた。にもかかわらず、参院特別委での法案採決を直前に控えた9月14日、突然、手のひらを返すように「ホルムズ海峡の機雷掃海は関係ない」と言い出したのだ。
え? じゃあ集団的自衛権を行使しなきゃいけない理由って何なわけ?と問いつめたくなるが、じつは安倍首相、もうひとつウソをついていた。それはホルムズ海峡の機雷掃海と同じく繰り返し語っていた「邦人輸送中の米輸送艦の防護」、あの赤ちゃんを抱いたお母さんのイラストのアレである。
安倍首相は昨年、集団的自衛権行使容認の閣議決定後の会見からずっと「日本人の命を守るため、自衛隊が米国の船を守る。それをできるようにする」と語ってきた。ところが中谷防衛相が「存立危機事態の認定に当たって日本人の乗船は不可欠ではない」と言ってしまったものだから、安倍首相にも追及の声が拡大。その結果、「日本人が乗っていない船も守る」と開き直ったのだ。
ハナから存立危機事態は「一概に申し上げることはできない」で逃げっぱなしで、数少ない具体例だったホルムズ海峡の機雷掃海も関係ない、日本人の船を守るのが目的と言わんばかりだったのにそれもウソ。となれば、安保法制に立法事実などなくなってしまう。そんな重要な話を開き直ってしまうということは、安倍首相には「国民にていねいに説明する」気がなかっただけでなく、「ほんとうのことは言えない」と国民を欺いたのだ。
……こうして10〜1位まで振り返れば、おのずと安保法制がいかにデタラメなものか、おわかりいただけただろう。詭弁に次ぐ詭弁を弄し、暴言が噴出してもメディアを黙らせ、数の論理で可決へと押し切った。それが安保法制だったのだ。
何度も繰り返すが、このような憲法や民主的手続きを一切無視して通された法律を受忍することはできない。どうかこの憲法と国民を愚弄した発言の数々を、来年の参院選まで忘れないでいただきたいと思う。来年こそ、こいつらをのさばらせてはいけない。
(編集部)
最終更新:2015.12.30 10:52