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羽生結弦VS浅田真央の争いも? フィギュアスケート全日本選手権の裏で選手以上にヒートアップするスケヲタたち

 ことの発端は、チャリティーイベント。高橋の呼びかけで始まった東日本大震災チャリティー演技会に、2年目以降から被災地でもある仙台市出身の羽生が出場せず、ファン同士に溝ができ始めたという。その後、高橋ファンが羽生の演技にブーイングしたり、ソチ五輪後に仙台市で行われた羽生の凱旋パレードの費用をめぐって論争が起きるなど、火種は尽きなかった。ある高橋ファンは、SNSで高橋が棄権した世界選手権のチケットを譲る際に、「ただし羽生オタ以外で」という条件を付けるくらい、羽生ファンを目の敵にしていたことも。

 しかしなにも、高橋ファンと羽生ファンだけがとくべつ仲が悪いということではない。前出の『スケオタあるある』によると、ファン同士のコミュニケーションには過剰なまでの配慮が存在しているのだ。

「自分が誰のファンかを隣席の人たちに悟られないよう、できるだけ平等に拍手やスタオベをする」
「会場へのバスの中では選手の話題は禁物」
「お隣に「誰のファンですか?」と聞くのはリスキーなので「どこから来たんですか?」と声をかける」
「心置きなく会話を楽しむため、スケオタ客のいない店を探す」
「違う選手のファン同士の会話は少しばかり緊張が走る」

 ファン同士がここまで気を遣い合うのには、もちろん理由がある。「スケオタ」という言葉が定着したように、スター選手の出現によってファンが増加したフィギュアスケート。しかし、一方でファン同士がネット論争を繰り返し、選手のアンチスレッドには盛んに書き込みが行われているのだ。なぜフィギュアファンは、自分の好きなファンを応援するにとどまらず、ライバル選手を執拗に攻撃するのだろうか。

 その原因として考えられるのは、採点競技の難しさだろう。羽生と高橋を例に挙げると、世界一のステップや妖艶な演技など芸術面が高く評価されてきた高橋と、4回転ジャンプを武器に台頭してきた羽生というように、異なる個性や技術をジャッジすることになる。もちろん「ISUジャッジングシステム」という採点法で公平さが可能な限り担保されているが、熱狂的なファンは納得できないケースもあるのだろう。そのため、怒りの矛先が他の選手に向かうこともあるようだ。

 また、ファンの潜在的意識の中にあるのが、応援する選手が国内で圧倒的な王者であってほしいという思い。王者でなければ、日本スケート連盟やマスコミから不遇な扱いを受けるのでは、と恐れる人も少なくないという。一見するとファンの思い込みではないかと感じてしまうが、実はあながち間違った考えではないのだ。

 オリンピックや世界選手権などの主要国際大会では、その選手がその国の“ナンバーワンの選手”であるかどうかが、採点に影響する傾向にあるという。実際、高橋大輔や安藤美姫らがオリンピック前に「日本の一番手で出場しないと」「一番手としての出場ではなくなってしまったので厳しい戦いになる」といった主旨の発言をしたこともある。

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