反省なし!(森喜朗公式サイトより)
またあの男がやらかしてしまった──。そう、新国立競技場の二つの応募設計案について、森喜朗・東京五輪組織委員会会長が「外側だけ見るとB案の方がいい。いかにもスポーツという雰囲気が出ている。ギリシャの神殿みたい」、対するA案に「大会をやっているという明るさがない」と、発言した問題だ。
五輪組織委会長という立場にある人物が、メインスタジアムの審査の前に個人的な評価を口にするというのも信じられないが、もっと呆れたのは、一連のオリンピックをめぐる混乱への反省がこの男にまったくない、ということだろう。
今更いうまでもないが、新国立競技場がギリギリで再選考という事態に陥った主犯は、森会長なのである。
日本ラグビー協会名誉会長でもあった森氏は当初、ラグビーW杯のメイン会場にするために、改修で十分な国立競技場の巨大建て替え計画を推進。その結果、決まったザハ・ハディド案が3000億円以上かかるということが発覚し、国民からの強い批判を受けても、2500億円に修正しただけでそのまま進めることをゴリ押し。その結果、もっと金がかかることや工期に間に合わないことが次々露呈して、白紙撤回という事態になったのだ。
いや、国立競技場だけではない。パクリ疑惑のあげくやはり白紙撤回されたエンブレムについても、森会長が審査委員会で選ばれた案に注文をつけ、佐野研二郎氏にやり直しをさせていたことが判明した。
ところが、どちらの問題でも森会長はまったく責任を問われなかった。とくに国立競技場問題では、競技場を管轄するJSCの河野一郎理事長が退任、さらに下村博文文科相も責任をとらされる形で更迭されたのに、森首相はなんのおとがめもないどころか、「たった2500億も出せなかったのか」「大変迷惑している。私には関係ない」と被害者面をする始末だった。
そして、今回、新しい国立競技場計画案が示されると、さっそく「B案のほうがいい」などと、またぞろ、自分の好みを押し付けるような発言をしたのだ。