この夏、是枝氏は『いしぶみ〜忘れない。あなたたちのことを〜』(広島テレビ放送)という番組で脚本・監督を務めている。広島の原爆被害者の証言や記録を女優・杉村春子が朗読した1969年放送の伝説的なドキュメント番組をリメイクした作品だ。原爆体験者が鬼籍に入りつつあるいま、決して忘れてはいけない事実をあらためて視聴者に伝える意義深いものだった。
是枝氏は「僕としてはTVを嫌ってほしくない」と話す。
「こんなことを言うとBPO委員の方に怒られるかもしれないけど、TVはもっと“お行儀悪く”ていいと思うんです。放送関係者は政権に萎縮することなく、あくまで自主自律の道を歩み続けてほしいです」
この言葉が今のテレビ関係者に届くことを切に願う。
(水井多賀子)
最終更新:2016.06.19 02:23