左・是枝裕和『是枝裕和対談集 世界といまを考える 1』(PHP文庫)/右・古賀茂明『国家の暴走』角川書店より
昨日、放送倫理・番組向上機構(BPO)が、政府と自民党に対して「民主主義社会の根幹である報道の自由の観点から、報道を萎縮させかねない」と再び厳しく批判した。
BPOは、今年11月10日にも、『クローズアップ現代』(NHK)と『報道ステーション』(テレビ朝日)をめぐって、自民党が両局の幹部を呼び出し、総務省は高市早苗大臣名で勧告を出したことを、放送倫理検証委員会の意見書で〈今回の事態は、放送の自由とこれを支える自律に対する政権党による圧力そのものであるから、厳しく非難されるべきである〉と言及していた。今回は同じBPOの放送人権委員会が、さらに政権側へ釘を刺した格好だ。
2度にわたるBPOの政権批判。これに対してネット上では、「BPOは反日組織」「圧力じゃなくて偏向してるテレビ局が悪い」「偏向報道局こそ放送法違反」などという浅薄な声が上がっている。
しかし、BPOの意見は然るべき意見を第三者機関として公表したにすぎない。BPOの委員であり、世界的な映画監督、数々のテレビドキュメンタリーを制作してきた是枝裕和氏は、このように問題を指摘する。
「公権力が4条の「公平」という部分だけを局所的に解釈して、介入を繰り返すというのであれば、それこそ放送法違反だといってもいい」
是枝氏がこう語っているのは、「週刊プレイボーイ」(集英社)12月14日号に掲載された、古賀茂明氏との対談。是枝氏といえば、11月のBPO意見書発表後にも自身のブログで、政府や自民党が放送法を間違って解釈していること、そして「BPOは政治家の駆け込み寺ではない」と看破したが、今回の対談でもいかに安倍政権が放送法を曲解しているかを解説する。