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介護施設で相次ぐ虐待、入居者を監禁する“刑務所”高齢者住宅も…最大の問題は行政の不作為だ

 しかし家族が面会に行った際、ヘルパーの不審な行動を目撃する。

「その日はケアプラン上では一時間のサービスが提供されることになっていたのですが、わずか20分ほどでヘルパーが部屋から引き揚げるところに出くわしたのです。ほかにも着替えや洗顔などがされていない様子が見受けられた」

 決められたサービスを提供されていない疑いを持った家族は、以前のヘルパーへと再変更したという。

「ところが、これが思わぬ事態に発展していく。
 『お母さま(佳子さん)の行動に落ち着きがなくなって、その対応に職員は追われています。警察に何度も電話をかけようとするので困っています。なんとかしてください』
 サービス付き高齢者向け住宅の職員は、まるで非難するかのような口調で家族に訴えてきたという」

 これは自分たちのサービスを使わない露骨な報復行動であり、職員は家族が頼りにしているケアマネージやーの解任や、ホームからの撤去さえも口にしたという。母親を人質に取られた形の家族にすれば口をつぐみそれに従うしかなかった。今回の事例だけではなく弱みを握られた形の家族たちは、事業者の言うがままになるしかないケースが多いようだ。

 もちろん事業者が入居者を囲い込むのは“利益”のためだ。施設によっては併設または系列サービス利用を入居条件としているところさえあるが、しかしこれはサービスや介護の面でも大きな弊害を生むという。

「メディアで優良企業として経営者が紹介されたこともある関東のサービス付き高齢者向け住宅では、朝から夕方まで入居者を併設のデイサービスに送り込み、住居棟に鍵をかけて自由に行き来できないよう管理する。外出も家族による付き添い以外は認めず、訪問介護を使うこともできない。介護サービスの自由な選択や利用が妨げられるだけでなく。“籠の鳥”のような生活を強いられるケースもあるのだ」

 もう1人、茨城県の浩さん(78歳)が入居したサービス付き高齢者向け住宅は、人間の自由と尊厳を奪われるまさに“監禁場所”“刑務所”のような場所だったという。

「携帯電話の持ち込みが禁止されており、公衆電話もない。職員がいる事務室の電話を借りることはできるものの、話の内容が筒抜けになってしまうので親族と内緒話もできない。たまらなくなって逃げ出そうとまで考えたらしいが、所持金がないため諦めたという」

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