池谷孝司『スクールセクハラ なぜ教師のわいせつ犯罪は繰り返されるのか』(幻冬舎)
勤務する小学校の男子生徒を裸にし、カメラで撮影していたとして東京都三鷹市の男性教諭が逮捕された。この男はそれ以前にも女子児童を膝の上に座らせたことで教育委員会を巻き込んだ騒動を起こすなど、わいせつ行為の常習犯であったようだ。
このような教職員による生徒へのわいせつ行為(スクールセクハラ)が後を絶たない。「産経新聞」2015年11月25日朝刊では、〈平成25年度にこうした行為で懲戒や訓告などの処分を受けた公立学校の教員は205人(前年度186人)に上り、昭和52年度の調査開始以来最多になった。過去10年間ほどは年間150人程度で推移していたが、初めて200人を超えた〉と驚くような結果が報道されている。
また、そのわいせつ行為の内訳を見ると、より強い衝撃を受けずにはいられない。前掲の「産経新聞」によると、「体に触る」が56人、「盗撮・のぞき」が37人、「性交」が30人、「接吻」が23人であると伝えられている。
連日のようにスクールセクハラに関する報道が出ているにも関わらず、なぜスクールセクハラはなくなるどころか増え続けているのか? そこには、「教師と生徒」の関係に「権力」が生まれる構図に対し教師自身が無自覚であったり、周囲の大人たちの理解欠如があったり、学校や教育委員会が教師のわいせつ事件を「なかったこと」にしようとする体質をもっていることだったりと、複雑かつ重層的な問題が存在する。
当サイトでは以前、スクールセクハラがなくならない原因について考察した記事を掲載したことがある。ここに再録するので、是非とも読んでみて欲しい。
(編集部)
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近年、教師によるわいせつ事件が世間を騒がせている。9月下旬には、宮崎県でともに教師である夫婦が公園へ行き、遊んでいた女児の前で妻が下半身を露出し、夫がその一部始終をビデオ撮影するというおぞましい事件が発生した。同じく9月には、部活動中の女生徒にわいせつな行為をしたとして、茨城県の公立中学に勤める男性教諭が逮捕された。この教師は過去3度も同様の事件で逮捕されており、公判中だったという。