『The Lifestyle MUSEUM』(TOKYO FM)公式サイトより
治安維持法や特高警察が廃止されてから70年がたつが、いま、その戦中を彷彿とさせる光景が相次いでみられている。
たとえば10月16日、ピーター・バラカン氏が、自身がパーソナリティを務めるラジオ番組『The Lifestyle MUSEUM』(TOKYO FM)で、その日スタジオに向かう途中、こんな経験をしたことを語った。
「めずらしく広尾の方から六本木に向かって有栖川公園の脇を歩いていると、まずひとりの警官にちょっと、変な目で見られて(略)。もうちょっと先を歩くと、中国大使館のすぐ手前のところで2人の警官に、止められました。『あれ? どうしたんですか?』と言ったら、『いや、あの今日これから抗議をする予定ですか?』と聞かれたんですね。ん?いや、特にそんなことはないと『なぜそんなことを聞くんですか?』と言うと、『9条のTシャツを着ているから』と」
ようするに「憲法9条のTシャツ」を着て六本木を歩いていただけで、警察官に呼び止められ、詰問されたというのだ。バラカン氏は、「ほんとうに僕、40年以上この国で暮らしてはじめてそうふうに聞かれたもので、今も釈然としないものがあって。仮に抗議に行く予定だったといっても、なぜ、それがいけないことなのか」と語ったが、まったくもって同感だ。
Tシャツに書かれていたのは、「アベを殺す」とか「国会議事堂を爆破する」というような“過激な”メッセージではない。この国の憲法である“9条”だ。異常としか言いようがない。そもそも警察官を含むすべての公務員は、憲法99条で“憲法の尊重と擁護の義務”を課せられている。憲法を守らねばならない立場の公務員が、その理念の根幹である平和主義を示した憲法9条を“問題視”するというのは、まさに憲法に違反する行為だ。しかし、こうした事例はバラカン氏だけの特殊なケースではない。