こうしたなか、結成前の政党に参加予定の単なる一議員を出演させたというのだから、これはどう説明するのだろう。司会の島田解説委員は冒頭でやはり「与野党の政策責任者」と言っているが、まだできてもいない政党に“政党の政策”などあるはずがない。元気会代表兼幹事長の松田公太議員も、ブログでこう怒っている。
〈おおさか維新の会が結成されるとしたら、それは「新党」であり、選挙を一度も戦ったことがない政党になるからです(つまり得票率は0%です)。まあ、要件も何もあったものではないですね。存在しない政党を出演させるというトンデモナイことをしでかしてしまったのです。今後、国会議員や自称政治家がやってきて「来月に新党を作ろうと思っている。今週の日曜討論に出演させろ」と主張したら、どういう理屈で断るのでしょうか〉
そもそも、維新の党とおおさか維新の会が同席していること自体が矛盾だ。片山虎之助氏を含むおおさか維新の会に入党する予定の議員は26日に開いた“臨時党大会”で維新の党の解党を決議したのではないか。解党させたはずの政党の幹事長とニコニコ同席するというのもヘンな話だ。常識的に考えれば、NHKはこうした政党の正当性に関するゴタゴタが落ち着くまでは両党ともに出演を遠慮してもらうべきではなかったか。
あるいはもし、NHKが26日の臨時党大会を有効だと判断しているとしたら、解党した維新の党の幹事長を出演させているのはどう説明するのか。全国紙政治部記者はこう話す。
「以前は政党要件を満たしていることが出演の条件でしたが、みんなの党や日本維新の会分裂で小政党が乱立したため、所属議員数などを加えてNHKが独自に判断するという姿勢だったようです。ところが、今回のケースはまったく説明がつきません。まぁ、分かりやすく言えば安倍政権に近い橋下(徹)さんにサービスしたということでしょう。基準も要件もまったく関係ないということを自ら暴露してしまったわけですね」
橋下徹大阪市長と安倍晋三首相が改憲で連携する密約があることは本サイトでもたびたび指摘してきた。そんな政治家を、ルールを無視して支援するNHKは、もはや公共放送とは言えないだろう。ましてや、受信料の義務化など絶対にゆるされるべきではないのである。
(野尻民夫)
最終更新:2015.10.28 08:40