そういえば、義家センセイは教え子と結婚したという経歴を持っているうえ、以前「週刊文春」(文藝春秋)に高級ソープ通いをスッパ抜かれたこともある。もしかして、“教職者のモラルに反し、背徳の性愛にハマる”主人公・二宮は自分の願望の投影なのか。
まあ、でも、エロシーンがあるというだけなら、一応、教師退職後だし、このご時世、大目に見てもいい。問題はその後だ。
この「路上の箴言」には「路上の箴言 復讐編」と銘打たれた続編があり、やはり「小説宝石」08年8月号から09年1月号に連載されているのだが、これがまたとんでもないシロモノなのだ。
前編「路上の箴言」は、例のエロ写メ相手の「あいあい」が、その後、教師・二宮の教え子「ヨウコ」だったと発覚。ヨウコは大麻販売や売春斡旋などを行っていたグループのリーダーで、自殺した生徒はその大麻栽培にかかわり、秘密をばらそうとしたために自殺とみせかけて殺されていた。そして、二宮は送ったエロ写メをヨウコにチクられ、生徒の自殺は二宮が先導したいじめが原因によるものだとして、懲戒免職をくらう、というところで終わる。
続編は“復讐編”と銘打たれていることから察しがつくように、教職を追われた二宮が生徒たちに復讐を開始するというものだが、その復讐描写がヒドい。
二宮は自分をハメた中学生グループ22人を拉致し、廃校舎の教室に監禁、「最後の授業」と題し、問答無用で元生徒を殴りつけるのだ。
〈ユウタが口を開いた瞬間、二宮は渾身の力で殴りつけた。ユウタは吹っ飛び、後方のドアに激突した。ドアのガラスの向こうにいる能の面を被った男が、機関銃を教室に向けている。教室が凍りついた。
「お前の質問に答える必要はない。それに、なんだ、その口の効き方は。お前、自分が置かれている状況、わかっているのか? 僕は名前を呼ばれたら席に着けって言ったんだ。聞こえているのか?」
ユウタは床に横たわりながら二宮を睨んでいる。そんなユウタの腹に二宮は蹴りをねじ込んだ。グフッ、ユウタが床で悶絶する。〉
生徒たちに殴る蹴るの暴行を加え、あろうことか機関銃で恫喝……だが、ここで思い起こされるのは、義家氏の“ヤンキー先生”時代のエピソードだ。先日、本サイトでも引用したが、義家氏は馳文科相との対談で「いじめの指導で放課後四時間教室から(生徒を)出さなかった時は他の教職員がハラハラしながら私の教室の外で見守っていて後で散々言われました」と語り、過去に4時間も生徒を“監禁”したことを誇らしげに紹介。「教室の用具はボコボコになり、最後は加害生徒が泣いて詫びながら二度といじめないことを誓ったので終わりにしました」と、暴力による指導を行っていたことを明言している。すなわち、“実体験”と同じことが小説でも描かれているというわけだ。