そんなところから、「文春は自主的に編集長の処分をしたので、警視庁からおとがめなしで終わったんじゃないか」、さらには、「警視庁の動きを知った文春上層部が注意処分を受けないためには先手を打ったんじゃないか」という見方も流れている。
「週刊文春」が編集長休養騒動を起こしたときに配信した記事をここに再録するので、今回の件の裏側には何が潜んでいるのか、思いをめぐらせながら読んでみてほしい。
(編集部)
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発行部数約70万部、日本で一番売れている週刊誌「週刊文春」(文藝春秋)に大激震が走った。なんと、2015年10月8日号の内容が問題視され、新谷学編集長が3ヵ月間の強制休養を言い渡されたというのだ。
もしかして、マルコ・ポーロ事件のようなタブーネタに触れてしまったのか? あるいは差別表現で抗議でも受けたのか。それとも、安倍首相や菅官房長官との緊密な関係が噂になっていた新谷編集長のこと、官邸リークで露骨な記事を書きすぎると問題になったのか。業界は一時、騒然となったが、真相はなんとも拍子抜けするものだった。
原因は、同号に掲載された特集「空前のブーム到来!春画入門」とグラビア「日本美術の粋 めくるめく春画世界への誘い」。そう。春画の記事を載せたことが「けしからん!」と社長の怒りを買ってしまったらしいのだ。
今日8日、「週刊文春」編集会議の場に松井清人社長自らが姿を現し、編集部員全員に向かって、春画を取り上げたことは文春の品位、伝統を壊すものだと説教。そして、その場で編集長の休養を発表したという。
松井社長が特に問題視したのは、性器が挿入された局部を載せたということ。ポスト、現代がヘアヌードブームに乗っていた頃も、かたくなにヌードの掲載を拒否して、品位を守ってきたのに、何事か、ということらしい。
しかし、松井社長は現代における春画の位相をご存知ないのではないか。春画はもはやポルノグラフィーではない。13年に大英博物館でおこなわれた「春画――日本美術の性とたのしみ」は、9万人もの来場者を記録。世界が認める「芸術」なのだ。専門的な研究もあり、「美術手帖」(美術出版社)、「芸術新潮」(新潮社)といった美術専門誌でも特集が組まれている。