また産経新聞はさらに露骨で、「安保から経済へシフトチェンジ」として、安保成立後も支持率は安定しており、次は経済再生、アベノミクスへ移行するなどという論調を先回りして、大きく掲載した。
「今後、政治の話題としては経済、消費税の給付金問題、内閣改造、東京五輪問題、マイナンバー制導入、そして9月29日に安倍首相が出席予定のニューヨークで予定される国連総会へと、話題は安保からどんどん遠ざかり、別の方向に大きくシフトしていくでしょう」(同前)
こうしたマスコミの報道姿勢の裏に「日本人は忘れやすい国民性だ。原発問題だって既に関心が薄く忘れているほどだから、安保なら半年で忘れる」という安倍政権の作戦があるのは間違いないだろう。安保や集団的自衛権の問題から、傀儡のマスコミを使って一刻も早く注目を逸らし、国民に忘れさせるよう誘導、そして来夏に予定される参院選で安保問題を争点とすることなく戦う。それこそが安倍政権が目論む今後の政治日程であり安倍政権の安定化なのだ。
大手マスコミを使った“安保忘却作戦”とも言えるが、しかしこうした狡猾な戦略に騙されてはいけない。
安保法制が成立したからといって、これですべてが終わりではない。このままいけば待ち受けるのは自衛隊の中東やアフリカへの派兵と戦後初の武力行使、南シナ海や朝鮮半島への派兵も十分ありうる。武力を行使する日本に対し、国内での報復テロの可能性も格段に高まるはずだ。
だからこそ、私たち国民にできること。それは集団的自衛権を憲法解釈で一方的に容認し、説明責任を果たさないまま、強行採決で安保法制を成立させた安倍首相の“暴挙”を決して忘れないことだ。大手マスコミ報道の誘導に乗ってはいけない。
そして来たる選挙には、その公約や争点を巧妙に隠そうとする与党・自民党に騙されることなく、今回の横暴を、戦争への道を切り開いた安倍政権を思い出して行動することだ。
集団的自衛権容認、安保法制の暴挙、今後の戦争への危険性を決して忘れてはいけない。
(伊勢崎馨)
最終更新:2017.12.21 05:02