ヒゲの隊長は本当に“守るべき人”が誰なのか、考え直した方がいい(「佐藤正久オフィシャルブログ「守るべき人がいる」Powered by Ameba」より)
18日未明の参議院特別委員会、そして本会議での安保法案の可決は、戦後の国会史上最悪の暴挙であり、議会制民主主義の“死”をも意味するものだった。しかしそれ以上に唖然とさせられたのが、これを伝えるマスコミ報道だ。
そのほとんどが“野党民主党の暴力”を強調するものだったからだ。
例えば、安倍政権の親衛隊メディア「産経新聞」(9月18日付)では、特別委員会のドサクサ紛れの採決について民主党をこう批判した。
「民主党など野党は、法案の採決を阻もうとあらゆる手段を繰り出した。その最終段階で国民が目にしたのは、他の議員の背後から飛び乗ったり、議事進行に必要な書類を無理やり奪おうとするといった、およそ立法府にあるまじき光景だ。暴力まがいの行動に訴える国会議員に、日本の平和と安全保障政策を論じる資格はない」
さらに9月19日放送の『ウェークアップ!ぷらす』(読売テレビ)では、冒頭から司会の辛坊治郎が野党の暴力をことさら強調してみせた。
「それに至る大混乱は、成熟した民主主義国ではあまり見ないというか、まず見ない!」
「途上国の議会でもこの手の大混乱はニュースになることありますが、ちょっとこれはあまりに恥ずかしすぎると正直思います」
産経や読売テレビといった保守メディアだけでなく、『情報ライブミヤネ屋』(読売テレビ)、『ワイド!スクランブル』(テレビ朝日系)など、ほぼすべての情報番組で「国際的に恥ずかしい」「もっと冷静になってほしかった」などとその混乱の責任は野党の側にあり、「暴力」で採決を阻止した野党といったコメントが氾濫したのだ。
だが、すでに明らかなように、特別委員会の混乱の原因と責任は与党自民党の側にある。鴻池祥肇委員長を最初に自民議員のスクラムで囲って不当採決を行おうとしたのは自民党だ。それを突破しようとした民主党の小西洋之議員の顔を、ヒゲの隊長こと佐藤正久自民党筆頭理事がパンチした映像も出回っている。