RHYMESTERオフィシャルウェブサイトより
先日本サイトでも紹介した通り、8月30日に国会前で行われた安保反対デモには、坂本龍一、高畑勲、園子温、高橋源一郎、室井佑月、平野啓一郎、いとうせいこうといった、錚々たる面々の文化人・著名人が参加していたが、このなかに一般参加者として加わっていたある人物のデモに関する感想が一部で反響を呼んでいる。
その人物とは、ラジオDJ・映画評論家としても絶大な支持を受ける、ヒップホップグループ・RHYMESTERの宇多丸。9月5日放送の『ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル』(TBSラジオ)のなかで、デモへの思いを語った。
それによると、デモへの参加の背景には自身の政治的な主張の表明という部分は当然ありつつも、もうひとつ見ておきたいものがあったという。
「いまね、いろんなメディアで取り上げられているSEALDsというね、本当に全く新しい形の学生運動が起こっていて。まあすごく、感心すると。興味があるというのはもちろんあるんですけど。ひとつには、彼らの、ご存知の方も多いように、彼らのシュプレヒコールというかね、が、かなり新しいスタイルというかですね。まあ、ビートを鳴らして。太鼓を鳴らして、鳴り物を鳴らしてっていうのは昔からあると思いますけど。なんて言うんですかね? 言葉の乗せ方とか、言葉選びのセンスであるとか、みたいなものが、まあ明らかに日本語ラップ以降の影響下にあるであろうという風に思われるものだと」
「これはやっぱ、運動スタイルというか、運動スタンスも面白いけど、これは新しくて面白いなと。単純にいちラッパーとして、自分のずっとやってきたことがそういうエフェクトを与える時代になっているのかっていう、非常に興味もあってですね。まあ、前から行こう、行こうとは思っていたけど」
SEALDsのシュプレヒコールがラップ調であるというのは多くの人に指摘されていることで、実際、国会前抗議デモにゲストのコーラーとして、90年代初頭から活動するベテランのラッパー・ECDが参加したこともある。宇多丸は、SEALDsのシュプレヒコールに音楽的価値を見出していたようだ。
そして、彼はSEALDsが標榜する「普通の人が参加しやすいデモ」という、新しいデモのスタンスに、かつて体験したある運動を重ね合わせる。