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なぜ安倍首相は「国際貢献」を謳うくせに難民を受け入れない? 世界を動かしたシリア難民男児の遺体写真も他人事

 日本における難民軽視はこれだけではない。入国管理局には、不法滞在者や不法入国者が強制送還されるまで「収容」されるが、ここに難民申請中の人も収容されるケースがある。

 日本の入国管理局の収容実態は、これまでも問題となってきた。国連の人権理事会でも日本政府の収容・送還問題に改善が求められ、〈暴行の疑い、送還時の拘束具の違法使用、虐待、性的いやがらせ、適切な医療を受けさせない、という指摘〉も行われてきた。この劣悪な環境で、多くの人びとが収容を余儀なくされているのである。

 難民を保護することは〈国際法上の「義務」〉だが、日本政府の態度を見ていると、そうした意識は見えてこない。いや、むしろ日本政府が考える「人道的支援」「国際貢献」というもの自体に疑問を感じずにはいられない。

 たとえば、日本に難民申請する人びとの国籍は2014年の報告だと73か国に上るが、その内訳は、ネパール人(1293人)、トルコ人(845人)、スリランカ人(485人)、ミャンマー人(434人)となっている。このうちトルコ人は、多くの人がクルド人難民だといわれている。

 クルド人は、「国家をもたない世界最大の少数民族」とも呼ばれる。〈トルコ、イラク、イラン、シリアなどにまたがって暮らして〉おり、ほぼ半数がトルコ南東部に暮らすが、〈トルコでは長くクルド人やクルド語の存在自体が否定〉されてきた。

〈人口のおよそ五分の一にあたるクルド人の分離独立の動きを警戒するトルコ政府は、徹底したトルコへの同化政策とPKK(クルド労働党)ゲリラ組織の鎮圧、親クルド政党の弾圧を行ってきました。その結果、多くのトルコ国籍のクルド人が国外に亡命し、難民となりました〉

 以前、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の職員としてトルコを回った経験のある著者は、そのときに見た風景を記述している。シリア、イラク、イランの国境沿い地域では人びとの暮らしは貧しく、立ち並ぶ〈弾痕でまるでハチの巣のようになった家〉。〈かつての日本の「創氏改名」〉のような〈ナショナリズムの発揚〉を感じたという、トルコ東部の山の岩肌に書かれた「トルコ人だと言えることは、なんて幸せなことよ」という意味のスローガン……。

 しかし、日本において、トルコのクルド人難民を受け入れた数はゼロだ。〈ミャンマー人が条約難民と認定されるケースが増えるのに対し、クルド人が(条約難民として正式に)認定されたケースはこれまでに一件もありません〉という。

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