ヤクザによる情報戦――。たしかに、今回は始まりからして、その気配はあった。マスコミの第一報は8月27日、山口組総本部での緊急の執行部会だったが、実はその前日夜、「構成員20人ほどの某組長」と名乗る人物が、突如、こんなツイートをしたのである。
〈えらい事になった。ほんまに割れた。全部決まり。半数以上や。新名称決まった。「神戸山口組」〉
さらに、この組長は執行部会が開かれた27日にも〈盃終了、15団体でスタート。盃飲んだなら、腹括って下さい。〉〈2社脱落、13社。こんなもんやろ。〉とツイート。29日には山口組から離脱した13団体幹部に対する“処分状の一覧表”とする画像を公開した。
また、8月末には「九州」という別のアカウント名のツイッターが登場。9月5日に神戸山口組の幹部人事案を列挙したと思われる情報を公開、7日には「御挨拶」と題された神戸山口組の挨拶状らしき書面の画像をアップした。
他にも、未確認だが、離脱組系の組長らしきツイッターやFacebook、逆に山口組系の組長のツイートなども出回っているといわれている。いずれにしても、当事者のヤクザを名乗って、内情を暴露するツイートが飛び交うなんて、これまでにはなかったことだ。
「分裂騒動について本当のところを知っているのは、離脱組の13団体の組長だけ。3次団体や4次団体になってくると、ヤクザのほうも何が真実かわからない。だから、ヤクザ自ら身内に取材して情報を集めている。ヤクザもネットで情報を収集するという状況になっていて、それがまた2ちゃんねるやSNSなどでネットに出回り、まわりまわって警察や記者クラブに渡る」(前出・ベテラン記者)
もちろん、これらは事実でない情報もあり、アカウントも本物の暴力団構成員のものかどうかはわからない。ただ、その早さや詳しさを考えると、少なくとも、おおもとは山口組、離脱組、双方の内部から情報が出ていることはたしかだろう。
「週刊ポスト」(小学館)9月18日号の、フリーライター・鈴木智彦氏によるレポートには、山口組幹部のこんなコメントも掲載されている。
「嘘の情報を流せと指示された。具体的に名前や組織名を出せといわれた」
つまり、事実でない情報も暴力団が発信源となった攪乱情報の可能性が高いのだ。