安田氏は、本書のあとがきでこのように述べている。
〈たかがネットの書き込み、では済まされない。ネットの悪意は生活を脅かし、人間を絶望に追い込み、そしてときに命さえ奪う。(中略)しかも、部屋の中で寝ころびながら、あるいは勤務中に、電車の中でも、私たちは笑いながら人を追い詰め、殺すことだってできる。
そんな時代を、私たちは生きている。
さらに言えば、生き抜くための万全の知恵が、まだ見つかっていない。(中略)
だが、これだけは断言しておきたいと思う。
「ネット私刑」は「言葉の遊び」などでは決してない。
ただの暴力だ。卑劣で下劣な暴力だ〉
罪のない一般市民を巻きこんだ妄想のデマ情報を無責任にネット上に書き込む者、それをまとめる者、そして信じて拡散する者……。ひとりひとりがその行為こそが「暴力」だと気付くことが、何より大事なのだろう。そして、そうした行為を許さないとする風潮を、一刻も早くネット上に根付かせなくてはいけない。
(水井多賀子)
最終更新:2015.08.24 11:22