例えば今年になって経済産業省はFIT自体の見直しにも着手した。再生エネルギー発電の事業者に、事前に電力会社と契約することなどを義務づけるものだが、しかし、電力会社側がそれを拒否すれば事業が成り立たなく恐れのあるものだ。
実際、これを予見させる事態は既に起こっていた。昨年、電力6社は揃って「太陽光の受け入れ可能な容量を超えてしまう」として太陽光の買い取りを次々と停止した。現行法で電力会社は設備等に問題がない限り、申し込まれた売電の契約をしなくてはいけない義務が課されている。にもかかわらず、新規の買い取り契約を一方的に停止したのだ。しかもこの事態に呼応するかのように経産省はFIT見直しを打ち上げた形だった。
さらに事業者にとっては電源構成の開示、再エネの認定量に上限を設ける総量規制、太陽光発電の買い取り価格を大幅に引き下げる案などが検討されているという。
まるで再生エネルギー導入にストップをかけるイジメのような事態だが、これにより再生エネルギー事業者にとって参入のハードルが高くなることだけは確かだろう。
「そもそもFITにしても毎年のように買い取り価格は下がり続けています。2015年度の事業主の大型太陽光価格は1キロワットあたり昨年より5円下げた27円に、家庭からの発電も3年連続で引き下げられているのが現状です」(大手紙経済部記者)
こうした動きに呼応するように政府も「太陽光の総額に上限を設け、超える場合は新たな買い取りを打ち切る」との方針を発表している。
これでは発電事業主だけでなく家庭の太陽光導入にもストップがかかる可能性が高い。
「経産省や電力会社は、太陽光などの再生エネルギーについて『自然環境に依拠していて不安定』『発電しない悪徳業者が横行している』などと様々な理由をつけて、再生エネルギーをまるで悪者のようにイメージコントロールしています。特に太陽光については今年2月、宮沢洋一経産相が『太陽光に偏るなどひずみが出ており、全般的な見直しを開始したい』などとその代表格のような扱いをされている。もちろんその裏には是が非でも原発を再稼働させたいという本音がある」(前同)