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10分のセカンドオピニオン!? 「がんと闘うな」近藤誠医師の放置療法で被害者が続出?

 医療現場の慢性的な人手不足、3時間待ち3分医療の大病院、「聞きたいことが聞けるような雰囲気ではない」など医療への不信が深まるなか、医者中心のがん治療から患者のQOL(クオリティ・オブ・ライフ=生活の質)、インフォームドコンセント(充分な説明と合意)の充実が必要だという近藤医師の医療の転換を呼びかけは、多くの共感を呼び、2012年12月に初版1万部でスタートした著書『医者に殺されない47の心得』(アスコム)は100万部を超えるベストセラーになった。

 近藤医師は14年3月末には慶應義塾大学医学部を定年退職し、13年に渋谷に開いた「セカンドオピニオン外来」での診察が現在の活動の中心になっている。これまでも近藤医師への批判はあったが、不要な検査や抗がん剤の利権を守るために大学病院を頂点にした医局と製薬業界が組織的に近藤バッシングを仕掛けている気配もあり、ここにきて出てきた批判は、明らかにこれまでとは質の異なるものだ。

 がん治療の最前線の医師である勝俣医師は、こう批判の声をあげている。

「(近藤医師の影響で)抗がん剤を拒み、放置療法を望む方が、10人のうち2、3人位ぐらいに増えている。(略)悠長なことは言っていられなくなりました」(「週刊新潮」14年4月3日号)
「(近藤医師を信じたために)しっかりとした治療をおこなえば治っていたであろう早期がんを『放置』することによって、進行がんとなり、命を落とすという犠牲者まで出ている」(前出「医療否定本の嘘」)

 勝俣医師が問題とするのは、近藤医師が提唱する「がんもどき理論」だ。「がんもどき理論」とは、がんには転移する「がん」と転移しない「がんもどき」があるというものである。

「がんには『本物のがん』と『がんもどき』の2種類しかなく、いずれにしても治療は意味がないというものです。そして、治療をしないほうが長生きできる、そんな言葉に惑わされて、『治療を受けない』という選択をしてしまう患者さんがいます」
「がんという病気自体、怖いでしょうし、手術も抗がん剤も好んで受けたいものではありません。そんなときに、『放置が良い』と言われれば、ついついなびいてしまうのではないでしょうか」

「がんもどき理論」を主張しているのは近藤医師だけなので、「がんもどき自説」と言ったほうが適切だという勝俣医師は、「『がんもどき自説』の欠点は、『がんもどき』に相当する『放っておいても進行しないがん』を最初から見分けることはできないということです。(略)現代医学では残念ながらわからないので、一部の患者さんには過剰になってしまうかもしれませんが、早期がんと呼ばれるがんは積極的治療をするのです」と述べる。

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