「大阪維新の会」公式サイトより
維新の党の「安倍政権の別働隊」化がいよいよ具体的になってきた。
象徴的なのは6月29日、安保法制に反対するイベントに参加した初鹿明博衆院議員への対応だろう。このイベントの主催は、学生有志の団体・SEALDs(自由と民主主義のための学生緊急行動)で、ほかにも共産党の志位和夫委員長や民主党の菅直人元首相らが参加していたのだが、朝日新聞の報道によれば、維新の大阪系議員が「維新の党は保守寄りなのに共産と組むのはおかしい」と反発。この声を受けて、柿沢未途幹事長が調査に乗り出し、除名処分の検討を始めたらしいのだ。
反対集会で共産党と同席しただけで、「除名」というのは、普通ならありえない話。これはやはり、安倍政権の安保法制成立に維新が手を貸すという態度の表明としか思えないだろう。
そもそも、国会での安保法制議論がはじまる以前は、維新は民主と歩調を合わせ、安保法制や労働者派遣法改正案でも連携していく姿勢を示していた。しかし、橋下徹と安倍首相が対談を行った6月14日の少し前から、維新は自民党と急接近。維新は派遣法改正案で「同一労働・同一賃金」を強調していたのに、自民との修正協議に応じ、結局は19日に衆院を通過してしまった。
そして、橋下と安倍の会談後から、橋下はTwitterで安保法制に関する投稿を積極的に展開しはじめ、〈維新は民主党と一線を画すべきだ〉などと党執行部を牽制。維新はこの橋下に引きずられるかたちで、安保法制についても態度を変え始めたのだ。
維新の党の松野頼久代表は与党との修正協議を否定しているが、永田町では、維新が独自案を出した後に、自民と公明の国会審議と法案成立に協力する可能性が根強く囁かれている。
ようするに、大阪都構想が住民投票で否決され、橋下が引退表明しても、相変わらず“維新の顔”は橋下であり、維新は結局、その私兵にすぎないということだろう。そして、改革派ぶっていても、その本質は安倍と同様、ゴリゴリのタカ派・保守――。