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安倍政権が道徳教科書に採用「江戸しぐさ」がオカルト確定! でも下村文科相は責任逃れ

 原田氏によれば、江戸しぐさは1980年代に芝三光という反骨の知識人が産みだした“発明”であり、芝に弟子入りした越川禮子という女性が芝の死後、草の根レベルでの普及活動を経たのち、江戸しぐさに興味をもった日本経済新聞社出版局部長、その後、日経CNBC 代表取締役社長になった桐山勝氏の助力を得て『NPO 法人江戸しぐさ』を設立したことで、ビジネス界や教育界に広く浸透していったのだという。

 また、この書の中で原田氏は、1920年代生まれの芝三光という人物から、なぜ、江戸しぐさのような創作が生まれたのか、芝氏が生まれ育った環境や当時の時代背景、さらに創作に影響を与えたと思われる70年代の社会状況なども分析し、その理由を考察。芝氏ひとりで墓場までもって行くはずだった創作に、彼の死後、「江戸っ子狩り」といった越川氏の創作が加わった可能性についても言及している。

 そして、こうした“オカルト”を私たちの社会はいかにたやすく信じるかを、また、このようなオカルトがビジネス界のみならず教育界をまで侵していることの責任の一端は、自分の専門世界に閉じこもり、社会の動きに無関心だった専門家たちにあることをも指摘している。

 原田氏がこの本を書こうと思った第一の動機は、日本の教育への危機感である。前述の道徳教材『私たちの道徳』は、第二次安倍内閣政権下での教育改革を受けて、文科省が作成した。“お上のお墨付き”でこうしたオカルトが教育現場に入って行くことに、彼は大きな危機感を覚えているのである。

 こうした危機感は、ネットを通じて一般の人たちのあいだでも広がっていた。きっと文科相も「江戸しぐさ」を道徳教材に取り上げたものの、批判が多く寄せられていたのだろう。それゆえ、今回の『NEWS23』の取材に対し、文科相は「歴史的には検証していない」と開き直り、「歴史的事実として教えるものではなく、礼儀やマナーを考えるきっかけになればと作成した」と言い訳。そのくせ「来年度以降については改訂を検討している」と回答している。

 原田氏も書いているように、例えば江戸しぐさも大人が相手なら〈ヨタ話をヨタ話として楽しむ権利も許されている〉で済むかもしれないが、ある種の策略が見えて来そうなこれらの教育教材が、どういう色にも染まることができる子どもたちへの教育現場に浸透となると、〈もはや洒落ではすまない〉のである。にもかかわらず、「歴史的には検証していない」のに“江戸時代に、江戸しぐさは生まれました”と断定して道徳の教材で取り上げた文科相の罪は重い。事実、『NEWS23』が行った街頭インタビューでは、若者がフリップにまとめられた複数の江戸しぐさを見て、「全部分かる」と答えていた。もうすでに、江戸しぐさはかなりの人に浸透し、存在が信じられているわけだ。

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