また、疑惑をもたれているのは、この女子高生の声だけじゃない。4人目の30代男性についても、かぶせている吹き替え音声がうるさくて、ハッキリは聞き取れないが、字幕とはちがうことを言ってる印象を受ける。
さらに1人目、2人目についても、吹き替えで声がほとんど聞き取れないため、ほんとうに字幕通りの「反日の声」だったかどうかはわからない。ヘタをしたら、全員捏造だった可能性さえ否定しきれないのだ
これは相当に悪質な“捏造”報道だといわざるをえないだろう。前述したように、番組では、こうした街の「日本が嫌い」という声をもとに、韓国の反日は恣意的につくられたものだと解説。池上氏も「実は韓国の憲法前文に、その反日の原点ともいう部分が、書かれてるんですよ」と言い出し、嫌韓本さながらのヘイトデマを垂れ流した。
ようするに、韓国の反日を強調するために、無理矢理存在しない街の声を捏造したとしか考えられないのだ。
このフジテレビの醜い情報操作には、ネット上でも「フジテレビがひどすぎる」「これ捏造だろ」「池上さんは知っていたのか?」と批判が殺到。“BPOに通報した”という声もすでにあがっているため、審議入りする可能性もある。
それにしても、池上彰ともあろう人が自分の冠番組でなぜ、こんな捏造を放置してしまったのか。池上氏がリベラルかどうかは意見が分かれるところだが、少なくともメディアの倫理には非常に真っ当な視線をもっており、自分の姿勢も厳しく律していた。池上氏をよく知るテレビ関係者が語る。
「この番組については、完全にフジのシナリオのようですね。池上さんはその時期、超多忙であまりチェックする時間がないまま、乗っかってしまったようです」(テレビ関係者)
多忙だったからといって池上氏の責任はまぬがれないが、しかし、VTRが捏造だったことを考えると。第一義的に糾弾されるべきはやはりフジテレビだろう。
実際、ここ最近のフジテレビの報道番組や情報番組を見ていると、同局の報道、制作現場は完全に崩壊状態に陥っているように思える。それは、一般的に言われているような、安倍首相と日枝久会長がべったりで政権批判ができないとかそういうレベルの話ではない。
先日も、浅間山の噴火の際にもフジテレビ報道局のTwitterアカウントが、よりにもよってライバルであるTBSの災害担当記者のアカウントに取材依頼をかけたことが話題になったが、「フジにまともな取材を行う人間はいるのか」と問題視されてきた。