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安倍首相の面前で翁長知事が"対案厨”に反撃!「辺野古が嫌なら代案出せ」の身勝手

 さらに、2012年には〈米国政府が在沖海兵隊約一五〇〇人を岩国基地に移転、常駐させることを日本政府に打診〉している。が、このときも日本政府は米国からの移転案を拒否。後に再打診されても再び拒否し、加えて〈岩国以外の日本国内への移転〉も拒否している。

 こうしてみると、アメリカ側には軍事的・地政学的に沖縄でなければいけないという理由は成り立たない。むしろ日本政府こそが沖縄の米軍駐留にこだわっているのだ。

 このように理不尽にも米軍基地を押し付けられてきた沖縄だが、大きく潮目が変わったのは1995年、米兵による少女暴行事件を契機に米軍基地の返還が叫ばれた。もちろん、当時の大田昌秀・沖縄県知事も「安保条約が重要ならば(基地を)全国民で負担すべきだ」と主張したが、しかしそんなときでさえ、「自らの苦しみをよその場所に移したくない」と言い、〈事実上「本土移転」を意味する主張を展開しながら、「沖縄のこころ」を理由に、それを具体的な政治要求にすることを自制〉した。そして、〈グアムやハワイ、もしくはアメリカ本国への国外移設を提唱した〉のだ。

 だが、そんなふうにいくら沖縄が「本土」のことを考えても、「本土」側は沖縄を利用するだけ。基地問題を“自分ごと”として考えず、少女が暴行されても、沖縄国際大学に米軍のヘリが墜落しても、墜落事故を繰り返す危険機種・オスプレイが配備されても、「本土」はまったく関心を示さず、基地を沖縄に押し付けつづけてきた。そうした「本土」の無理解に絶望した結果、沖縄は“国内の県外移設”という要求を打ち出すようになったのだ。

 ここには、護憲か改憲か、あるいは保守かリベラルかといった政治思想はほとんど関係ない。沖縄の人びとは、ただただ「本土」のぞんざいな態度に怒っているのだ。そんな沖縄に向かって「代案を出せ」と要求するという行為は、いかに「本土」の人間が米軍基地によって沖縄が犠牲を強いられているのかをまったく考えていないことの証拠であると同時に、基地の必要性を謳いながら基地を引き受ける気はさらさらないという無責任さの証拠でもある。

 沖縄と、基地問題に当事者性をもとうとしない「本土」との断絶は、日々深まる一方だ。しかし、沖縄から「国内の県外移設」という声が上がるいま、もはや「本土」の人間にとって他人事ではない。本サイトとしては、普天間固定化も辺野古移設も、そして県外移設へも反対の姿勢をとっている。だが、“代案厨”のような基地への想像力ももたない人間が蔓延っているさまを見ると、「本土」に基地をどんどん移設して現実を突きつけるしか方法はないのか。そんなことを考えてしまうのである。
(水井多賀子)

最終更新:2015.06.24 12:05

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