声優になりたいんだから、まずは声優の専門学校に通っておくのが確実だろう……と考える志願者が多いが、実際には専門学校に通うという選択肢は、まったく確実な道ではないということなのだ。むしろ、遠回りをしているようにも思えてくる。
「声優学校や養成所というのは非常に儲かる商売です。学校には、生徒たちの将来の面倒をみる義務がありません。入った人間を必ずこのレベルのスターにします、入った人間を社員にして給料を支払いますといった契約を交わすわけではないのである意味気楽です」
声優は儲からない職業だが、声優専門学校は儲かるという、なんとも言えないこの現実。とにかく、夢見る声優志願者がカモにされないことを願うばかりだ。
ちなみに、そんな大塚は、父・周夫が同じく声優の納谷六朗に「ロク、お前せがれの面倒見てやってくれないか」と頼んでくれたことで、声優プロダクションに所属したとのこと。実際に納谷六朗は、「俺の知ってるディレクター全員に紹介してやる。一回目は駄目でも、二回目までは俺が全部責任持ってやる」といって、大塚の面倒を見たという。つまり、大塚は完全な“コネ”で声優の世界に入ってきたわけだ。しかも、実の父が有名声優なのだから、相当に強力なコネである。
そういう意味では、大塚の声優志望者への苦言は既得権をもった層特有の“上から目線”を感じないでもないが、しかし、声優という仕事が狭き門であるうえに、なれたとしても儲からない仕事であるのは事実だ。声優志望者はこの厳しい現実はしっかりと受け止めておくべきだろう。
(田中ヒロナ)
最終更新:2018.10.18 04:18