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“女子の刀剣萌え”に騙されるな! 日本刀ブームとネトウヨの根っこは同じだ

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イケメン日本刀のみなさま(『刀剣乱舞-ONLINE-』の公式トップページより)


 しかし、日本刀ブームのもとが『刀剣乱舞』だったと聞いて思い出したのが、去年、朝日新聞に掲載され、物議をかもした『艦これ』についての投稿文だ。投稿者は75歳の男性で、こんな指摘をしていた。

「(『艦これ』のブームは)戦争体験者である私にとっては心を震撼させるに十分のように思えた。時の政府は右傾化を強め、軍備強化を半ば強引に推し進めようとするように見える。それに対し、戦争を知らない人たちの中にはそれに呼応するかのごとき反応を示す者がいるのではないかと危惧する。戦争を知らない年齢層が体験した者より多くなっていく。そんな若者が、模型から本物にあこがれを持つようになっていくのではないかと心配してしまう。(略)ゲーム感覚で戦争を考えないでほしい」(朝日新聞14年5月24日付「声」)

 これにはネトウヨだけでなく、アニメファン、ゲームファンからも批判が集中。

「艦これに戦中派不安とかバカだろwwwさすが朝日新聞www」「被害妄想もたいがいにせぇや(笑)」「艦これブームを右傾化に結びつけるとか…さすがにムチャクチャすぎるわ」

 たしかに、この朝日新聞の投稿はちょっと大雑把過ぎるだろう。薄れゆく戦争忌避の意識を流行のゲームに見いだす心境は察するが、兵器や軍隊を扱った映画やプラモデルはずっと前からあったわけで、「ゲーム感覚で戦争を考えるな」、とまで言ってしまうと、それらすべてがNGということになってしまう。

 しかし、『艦これ』ブームと右傾化が全く関係ないかというと、そうではないだろう。少なくとも、軍艦が擬人化されて「萌え〜」になったことと、ネトウヨの増殖には共通の背景がある。それは本物の戦争への無知と浅薄な自意識だ。

 彼らは人と人が殺し合う本当の残酷さや人間性まで破壊される凄絶な実態をまったく知ろうともせず、かっこいい戦闘シーンと使命感や勇壮さに満ちた人々を描く右傾エンタメで、ひたすら美化された戦争のイメージを増幅させてきた。そのイメージが、一方で「愛する人のために自分を犠牲にすることをいとわず、規律正しく戦った美しい日本の軍隊を取り戻したい」というお手軽なネトウヨ思想を生み、もう一方では、殺戮と侵略の道具だった日本の軍艦を美少女にするという悪い冗談のようなコンテンツを生み出したのだ。

 それは、今、ブームになっている日本刀も同様だろう。たかだか1000年の歴史しかなく、日本の人口の1割も満たない階級がもっていたにすぎない武器を「日本民族の守りの象徴」「古来日本人が持つ魂」などと平気で言ってしまう歴史認識の上に、『刀剣乱舞』というゲームがあり、刀剣本のブームがある。

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