また、小倉智昭もテレビ東京のアナウンサー時代、上層部と対立して進退がきわまったときに、大橋巨泉に拾われて同事務所に入り、番組に抜擢してもらって以来、巨泉とは深い師弟関係で結ばれてきた人物。
いわば、巨泉にとっては愛弟子ともいえる人物が「反日映画に出演したら解雇されて当然」といわんばかりのコメントをしたというわけで、これにも疑問の声が集まっている。
しかし、巨泉の名誉のためにも言うが、巨泉は現在の「オーケープロダクション」とは何の関係もない。
オーケープロダクションは、09年、大手テレビ制作会社イースト・グループ・ホールディングスの完全子会社になっている。
「完全子会社化にあたり、オーケープロダクションの社長で、巨泉さんの実弟が引き続き社長を務めていましたが、ほどなくして退いています。その後釜にはナベプロ出身の人物がついているんです」(テレビ局関係者)
そのため現在ではオーケープロダクションと大橋巨泉は何の関係もないというわけだ。
一方、この買収劇に乗じて、自分の地位を固めたのが小倉だった。小倉はもともと同社の株式を持ち取締役に就任していたが、一気に経営への関与を強め、いまやオーケープロダクションの稼ぎ頭として大きな影響力を持って君臨しているという。
「以前は巨泉さんの後ろにくっついていた小倉さんですが、巨泉さんがいなくなったあとはイースト側にベッタリという感じです。古くから巨泉さんを知る局員の中には小倉さんのことを『裏切り者』呼ばわりする人もいるようです」(テレビ局関係者)
小倉といえば、韓国のナッツリターン事件で、「韓国の人は自分の責任は認めないで他人の責任にするのか?」といったヘイト発言をするなど、最近、巨泉のスタンスとは真逆の右翼的な言動が目立つが、これも事務所の体制が変わったことと関係しているようだ。
「小倉さんが変わったというより、本音を出せるようになったということじゃないですか。それまでは巨泉さんの手前、リベラルなふりをしていたけど、巨泉さんがいなくなったことでタガが外れ、もとから持っていた本性があらわになったんじゃないですかね」(前出・テレビ局関係者)
小倉は安倍政権のPR放送局・フジテレビの情報番組にとってぴったりのキャスターになってしまった。そして起きたのが、今回の萩原切り捨てを正当化する『とくダネ!』での発言だったというわけだ。
なんとも暗澹とするような話だが、結局、テレビ業界というのはこういう人物が生き残るようにできているのかもしれない。
(田部祥太)
最終更新:2017.12.23 07:15