一部には、「後藤さんは政府の意を受けてイスラム国側にわたった」という真偽不明の情報が流れているが、これは後藤氏に取材依頼したテレビ局が“御用メディア”として知られることに由来するのかもしれない。
「実際、このテレビ局は、後藤氏の消息にまつわる独自の情報をつぎつぎと伝えている。自社がどう関わったかという肝心な点は一切明かしていない」(前出・政府関係者)
こうしたテレビ局の鉄面皮ぶりもさることながら、人質事件が発生しているにもかかわらず、政府機能が停止する解散・総選挙に雪崩打った安倍首相の無責任さこそ、空恐ろしさを覚えざるを得ない。
そもそも安倍政権は、“テロ国家”による拉致事件の全面解決をうたい、北朝鮮とねばり強い交渉をしてきたとうそぶいた過去がある。交渉が本格化した昨夏には、数百人規模の拉致被害者が帰国するとまで言い切る側近たちの声も伝えられたが、北朝鮮から届いた調査報告書は「帰国者ゼロ」。これでは「消費増税による景気の冷え込みを打開するための政権浮揚策には使えない」と万歳し、閣僚スキャンダルの噴出と相まって解散・総選挙に逃げ込んだ。
「今回、イスラム国の人質事件も交渉決裂とみた安倍政権は、早々に投げ出したね。その証拠に、首相をはじめ外務大臣と防衛大臣もともども同時に外遊に出かけ、日本を空っぽにした。そんな政権の生ぬるさを見透かして、身代金要求映像が公開されたんだ。情けないことに、安倍首相が自ら設置したNSCすら開催できず、全ては後手後手に回ってしまったんだよ」(前出・政治部記者)
そもそも、この政権は、国民の人命を守る意思など持ち合わせていないと言っていい。その証は、今回の人質事件を通じて、早晩明らかになることだろう。
(田部祥太)
【検証!イスラム国人質事件シリーズはこちらから→(リンク)】
最終更新:2015.02.01 02:31