このように、AKBにしろジャニーズにしろ、同じグループ・事務所でも、対応はメンバーごとに大きな開きがある。発覚した問題のダメージ度ももちろんあるが、社会的注目度や期待度・将来性を鑑みたうえで解雇か謹慎かのジャッジを下しているのだろう。たとえば、06年に「FRIDAY」に喫煙写真を撮られたモーニング娘。の加護亜依の場合、一度は謹慎を言い渡されたが、その最中に再び喫煙&年上男性との温泉旅行が発覚。結果、所属事務所・アップフロントエージェンシーに契約解除された。本音では加護を手放したくなかったのだろうが、2度目のインパクトは大きく、庇いきれなかった結果の解雇といえよう。
しかし、そうした“事務所内の判断”だけではなく、近年はネット上の炎上具合も問題の一部になりつつある。その最たる例が、橋本愛の飲酒疑惑だろう。昨年、『あまちゃん』(NHK)出演時に俳優・落合モトキとの交際を「FRIDAY」が報じたが、「文春」は同時に橋本の飲酒疑惑を掲載。バーのオーナーが「みんなでカクテルを飲んでいきましたよ」と証言したことから、橋本の事務所は「ソフトドリンクしか飲んでいない」と否定。だが、ネット上では「幻滅した」「完全終了」「前から何かやらかしそうだった」などといった批判が集中した。
たしかに、事務所には未成年を預かる立場として、タレントの管理責任が追及されるべきだ。だが、酒を飲んだだけで鬼の首をとったように「犯罪だ」と過剰に反応しわめき立てる風潮もいかがなものか。そもそも、飲酒や喫煙を20歳以上としているのは便宜上のことであって、その線引きに医学的な根拠があるわけではない。些細な法律違反を見つけ出して針小棒大に報道しているメディア関係者だって、高校生のときに背伸びをして酒を飲んだり煙草を吸ったことが1回や2回、必ずあるはずだ。
こうした傾向がエスカレートしてきたのはおそらく、内博貴や加護亜依の喫煙・飲酒が騒動になった05年から06年くらいで、社会全体が保守化・幼児化して、同調圧力が強まり始めた時期とほぼ一致している。問題の大小がわからなくなって、とにかく法律違反は悪いことという小学生のような論理がまかりとおるようになり、芸能人はその格好のターゲットになっていった。
もちろん、芸能人である以上、熱愛ゴシップをはじめとするプライベートの素顔を晒されることは致し方がない。芸能人がさまざまなコンテンツや商品の消費を先導する存在となっている以上、メディアやネットがその実像を検証し、報道するのは当然の権利といえるだろう。
しかし、飲酒や喫煙レベルの些細な法律違反を矯風会的な道徳主義で断罪する社会は、ちょっと息苦しすぎるのではないかと思うのだが……。
(サニーうどん)
最終更新:2017.12.09 04:50